2020-01-01から1年間の記事一覧
カウンセリングの中で、特に大切だと感じる瞬間は、クライエントさんがほっとする様子が見て取れるときです。 ほっとするときは、気持ちが楽になり、身体がほぐれるだけではなく、視野も広がり、思考もクリアになります。 「これが、本来のこの人の状態なん…
「カウンセリングで自分を変えたい」というモチベーションは、とても大切なものでもある一方で、それが強すぎると、「何も変わっていない」などとせっかく起こってきた変化を過小評価してしまったり、「早く変わらなきゃ」というプレッシャーになって、カウ…
シネスイッチ銀座でやっと観ることができました。 映画『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』(9/10まで) 『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』予告編 (7/17公開) 「教会が沈黙してきたこと、何もしなかったことの責任を問いたい」 という台詞がとても印象的…
「トラウマ」と聞くと、事故や災害、虐待といった大変な目に遭った人が抱えるものというイメージがあるかもしれません。 しかし、最近ではトラウマには、「Trauma(big T trauma)」と「trauma(small t trauma)、日本語で言うなら「大きなトラウマ」と「小…
傷つきを抱えた部分が自分の中にある人には、どことなく幼く見える瞬間があります。 カウンセリングの場面でそんな様子が見られたら、AEDP(加速化体験力動療法)ではクライエントさんの中にいる子どものパーツ、子どもの部分が出てきていると考えます。 そ…
クライエントさんの感情をたどっていくと、その人が元気になるために「戻るべき場面」に連れて行ってもらえる。 カウンセリングの中では、よくそんなことが起こります。 クライエントさん自身は、その場面の記憶が出てくると、「もう過ぎたこと」と取り合お…
怒ったり、イライラしたり、ムッとしたり。 悲しくなったり、寂しくなったり、切なくなったり。 楽しくて、ウキウキしたり、ワクワクしたり。 怖くなったら、ビクビクしたり、おどおどする。 気持ち悪さでムカムカしたり。 基本感情の5つだけでも、感情のニ…
先日、emotionalな動画3選という記事を書きましたが、私は専門書だけではなく、さまざまな映画や小説、ドラマ、音楽などから感情について学ぶのも好きです。 感情に関する映画でわかりやすいものを一つあげるとするなら、『インサイド・ヘッド』です。 あの…
心のバランスを保つために、 「つらい気持ちを感じないようにした」 とおっしゃる方は、決して少なくありません。 でも、私たちの心は、ある特定の感情だけを感じないようにしたり、反対に特定の感情だけを感じたりするようにはできていません。 ある感情を…
大学で教えていた頃、なるべく「文字」を通してではなく、「人」を通して伝えるということを大切にしていました。 涙がこみ上げて来るときは、一瞬です。 文字では捉えきれないそのスピード感やエネルギーは、やはり動画が一番よく伝わりました。 どんなもの…
わたしとは、他者との出会いのなかで紡がれるもの。 そういう感覚は以前からあったけれど、この「他者」には「場」というものも含まれていたんだなと、コロナ禍にあって思います。 職場に行っていたわたし。 満員電車の揺られていたわたし。 駅のホームで電…
40代と言えば、ミドルエイジ・クライシス、いわゆる中年期の危機が訪れるタイミングです。 それまで、カウンセリングとは無縁の人生を送ってこられた方でも、夫婦関係の悩みや子どもとの関係、職場の人間関係(中間管理職としてのストレスなど)での悩みを抱…
じぶんと言う表現に、「分」という漢字が使われていることについて、最近いろいろ考えています。 「分」には、身の程とか身の丈といった、その人の能力や身分という意味もあります。 そして、「分」には、もともと「分ける」という意味もあります。 この「分…
先日、コロナ禍でなかなか会う機会のない両親に手紙を書いてみました。 近況の報告と、感謝を伝える手紙です。 面と向かっては言えないことも、手紙だと書けるのがいいですね。 私が両親に感謝を伝えるのが苦手なのは、照れ臭いだけではありません。 AEDPの…
生きていると、たくさんの「予想もしなかったこと」に出会います。 昨日まで仲良くしていた友達に無視される。 進学先のレベルが高くて、それまでのような成績が取れなくなる。 受験や就活で、第1志望のところに入れない。 大切な人が突然亡くなる。 会社が…
先の見えない状況、不可解な出来事、何を信じたらいいのかわからない感覚、日常が非日常に脅かされ続けている今。 不満や苛立ち、恐怖、もどかしさといった、さまざまなネガティブな感情に支配されている自分が、嫌になってしまうこともあるかもしれません。…
カウンセリングを仕事にしていると、「自分の相手の間には境界がある・別々である」という感覚は、とても大切です。 子どもの下着の色まで決める校則に、嫌悪感を抱く人たちも多くなっているようですが、これって本当に大切な感覚で、私たちの中のソフトウェ…
「自分を知ることが大切」 「自分と向き合うことが大切」 「そのためには、マインドフルネスや瞑想がいいらしい」 そんな情報は入ってくるけれど、じゃあ、「自分と向き合う」ってどんなことなの? どうやったら、自分と向き合うことができるの? そんな疑問…
自転車に乗るのも、車の運転も、最初はみんなうまく行きません。 練習をして、だんだんとスムーズに乗りこなせるようになります。 歩き始めるとき、話し始めるとき、そのたどたどしさが愛らしいものです。 子どもが流暢に話すようになると、あのたどたどしさ…
You deserve it. 英語の本やドラマに、よくこんなセリフが出てきます。 「あなたには、それを受け取る価値がある」とか、 「あなたは、それに値する人なのよ」 という意味です。 You deserve it. 日本語で、なかなかこんなふうには言わないなぁと思ってしま…
カウンセラーのクライエントさんへのかかわりは、しばしば、童話『北風と太陽』に例えられます。 旅人が着ているマントを、クライエントさんの心の防衛に見立てて、そのマントを何とかして脱がせようとする、“挑戦的”で“対立的”な「北風のアプローチ」。 一…
「自分を大切にする」っていうと、「それって自分を甘やすことにならない?」ってよく聞かれるけど、自分を大切にするってことは、自分の意思や主張を明確にすることだから、「お前はどうしたいんだ」って、常に自分自身との意思疎通を図らないといけなくて…
思いやりには3つの方向があります。 1. 自分から他者へ(自分→他者) 2. 他者から自分へ(他者→自分) 3. 自分から自分へ(自分→自分) つまり、 1. 思いやりをあげる 2. 思いやりを受け取る 3. 思いやりを自分に向ける ということですが、これは一般的に、…
伝えているつもりでも、うまく相手に伝わっていない感じがする。 そんな経験は、誰もがしたことがあると思います。 伝えていることと、伝わっていることは、イコールではありません。 だから、伝える言葉で伝える工夫というのが、本当に大切だなと思っていま…
大学で教えていた頃、「カウンセラーが自分の考えを言うのは、押しつけになると思う」という言葉に、頭を抱えていたことを時々思い出します。 カウンセラーには、「個人としてではなく治療者として」、自分の考えを時にはっきりと伝える責任があると、私は思…
初学者の頃というのは、何事も不安なものです。 大学院修士2年生のとき、そして就職して3年目のとき、私は精神分析の大御所に自分のケースを見てもらうという体験をしました。 大学院生の頃の体験はこちらに書きました。 emotion-lab.hatenablog.com 就職し…
自分の体験だけを大切にできる場所。 自分の体験の正当性を、誰にも憚ることなく話せる場所。 SNSを通じて人々がつながりすぎる世の中で、カウンセリングという場は、そうした価値を持っています。 子どもの頃から、私たちは「人の気持ちを考えなさい」と言…
緊急事態宣言解除後、オフィスのHPを通じて、対面でのカウンセリング、スーパーヴィジョン、教育分析へのお申し込みをいただいております。ありがとうございます。 talktoyourheart.com カウンセリング業界全体の今後を考えると、個人的には、オンライン・カ…
前回の記事と関連して、今回は「感情のレパートリーを増やすこと」について書いてみたいと思います。 emotion-lab.hatenablog.com 恥に対する恐怖。 怒りに対する罪悪感。 悲しみに対する不安。 こんなふうに、私たちは、自分の感情に対する別の感情を抱くこ…
コロナ禍の生活を通して、今、多くの人が「自分の心のケア」の必要性を感じています。 あまり知られていないことかもしれませんが、私たちは、2つのストレスを感じています。 ・環境や他者から与えられる、外からくるストレス ・自分の心の中の不安や恐怖、…