新年度が始まり、新しい環境に身を置くようになった方も、たくさんいらっしゃることと思います。
学校や職場に限らず、新しいコミュニティに参加するという点では、習い事を始めようと思っている方もおられるかもしれません。
カウンセリングも治療のように「悪いところを治す」という側面だけではなく、習い事のように「新しいことを学んでいく」という側面があるように思います。
私は、自分の感情をしっかりと感じられるようになることに重きを置いたカウンセリングをしているので、よく「感情筋を鍛える」と筋トレに例えた言い方をすることもあるのですが、そもそも「自分の感情に目を向け、それをしっかりと感じる」ということ自体が、私たちにとってはあまりやったことのない、新しくて、慣れないことです。
以前も書いたことがありますが、私たちは子どもの頃から「相手の気持ちを考えなさい」というメッセージを、さまざまな場面で投げかけられています。
その反面、「自分の気持ちを感じてみなさい」とは、なかなか言ってもらえません。
そうすると、自分の感情を感じるアンテナは育たず、人の気持ちをあれこれを詮索するアンテナばかりが、大きく育ってしまうのです。
ですから、感情を感じるカウンセリングでは、多くの人が最初は戸惑いを感じます。
「自分には向いていないかも」「自分にはできそうもない」と尻込みしてしまう人も多いかもしれません。
大人になってから、新しいことにチャレンジすることはとても勇気のいることなので、尻込みしてしまうのは当然です。
誰もが、もう失敗をしたり、うまくできなくて恥を感じたりはしたくないので、なんとなく慣れたことを繰り返してしまうものなのです。
けれど、自分の感情を感じるということに重要性や価値を感じるなら、「感情を感じる習い事」としてのカウンセリングを初めてみるのもいいかもしれません。
母国語以外の言葉を話せるようになると、世界が広がっていくように、自分の感情を感じられるようになると、世界の見え方が変わってきます。
そして、感情を感じるというのは単なる知識ではなく経験なので、一生通じて使えるスキルとして身体に残っていきます。
私は感情は人生のコンパスだと思っています。
感情とは、より良い人生を送るための指針となってくれるものなのです。