You deserve it.
英語の本やドラマに、よくこんなセリフが出てきます。
「あなたには、それを受け取る価値がある」とか、
「あなたは、それに値する人なのよ」
という意味です。
You deserve it.
日本語で、なかなかこんなふうには言わないなぁと思ってしまいます。
言葉は考えを表明するものであり、考えを形成するものでもあります。
日本人はよく「受け取り下手だ」と言われますが、それは、You deserve it. に相当する日本語がないからかもしれません。
例えば、人から優しくしてもらったとき、私たちはどう思うでしょうか。
「ありがたい」
「いい人だなぁ」
「運が良かったな」
と感じることがほとんどでしょう。
「自分がその優しさを受け取るに値する人間だからだ」なんて、考えもしません。
しかし、言葉が存在しないからと言って、その現象が存在しないということにはなりません。
妊婦さんが若者に席を譲ってもらったとして、もちろん、その若者の行為も立派ですが、妊婦さんにはつらいつわりに耐えて、新しい命をその身体でもって育んでいるのです。
You deserve it.
生活保護を受けるくらいなら死んだほうがマシだという人がいます。
しかし、その人だって、子どもの頃から、お菓子を買うたびに消費税を払ってきました。
You deserve it.
他人からしてもらったことだけではなく、自分がしていること・やってきたことも、決して過小評価せずにきちんと認めることが大切です。
あなたの素直さが、あなたの誠実さが、あなたの優しさが、あなたの日頃の頑張りがあるからこそ、誰かがあなたのためにひと肌脱ぐということが起こるのだと思います。
好意や優しさや褒め言葉をもらっても、縮こまって謙遜し、その好意をはねつけてしまうことが多いなら、たまには自分にこう言ってみてください。
You deserve it.
十分に受け取れば受け取るほど、それが未来への力になります。
周りの人に貢献しようという思いを生みます。
我慢や強がりの産物ではなく、心から相手に与えることができるようになります。
妬みや嫉みからも解放されることでしょう。
自分が受け取ることを許されていれば、他の人にも寛容になれるからです。
誰かを幸せにするために、まず自分が受け取る。
そんな思考回路が、日本人にはもっともっとあってもいいのかもしれないと思います。