「今の涙は、何て言っていると思いますか?」 「今の涙は、どんな涙ですか?」 セッションの中で、時折クライエントさんに「?」という顔をさせてしまう質問です。 でも、クライエントさんが流す涙の質をセラピストが正しく把握しておくことは、とても大切な…
私たちは、何かと”包む”ことを好みます。 物を買ったときの包装紙しかり。 お年玉のポチ袋しかり。 昔は手紙を出すときに、最後に白紙を一枚入れることもありました。 言葉を”重ねる”ことは、丁寧な印象を相手に与えます。 こんな文化の中で育つと、”曖昧で…
カウンセリングの勉強のために、海外のセッションビデオを見ていて思うのは、"自分を主語として語るのが当然の文化と、そうでない文化がある”ということです。 これは前にも書いたことがあるような気がしますが、私たちは早くから「人の気持ちを考えなさい」…
カウンセリングのプロセスの中で最も難しさを感じるのは、有害な恥(toxic shame)を克服していくプロセスです。 一緒にやり遂げてくださったクライエントさんには、心から感謝とリスペクト、そして労いを贈りたいと、いつも思います。 自分には愛される価値…
2020年4月に開業いたしました、自由が丘カウンセリングオフィス。 気づけば、3年目に突入していました。 コロナ禍で時間が止まったような感覚もある中、3年目の春を迎えられてほっとしています。 これもひとえに、ホームページを見つけてカウンセリングをお…
日々、カウンセリングをしていると思うことがあります。 それは、「体験は歳をとらないし、体験に私たちが頭で考える理屈は通用しない」ということです。 例えば、カウンセリングをしていると、クライエントさんが問題だと感じている自分の反応が、昔の出来…
ハラスメントをはじめとした関係性をめぐる問題では、大声で怒鳴った、暴力をふるった、人格を否定するようなことを言ったなど、「何かをした」ことが問題になることが多いかもしれません。 しかしその一方で、「何もされない」ということも大きな問題です。…
バファリンの半分は、優しさでできてている。 そんなキャッチコピーが昔ありましたが。 私の自己肯定感の半分は、誰かがくれた言葉でできている。そんな気がします。 今でも、周囲の無理解や冷たいジャッジから、心を守ってくれる言葉に出会うと、うれしくな…
ここ数年、大切な人の誕生日には、前もってプレゼントを用意するのではなく、その人のほしいものを一緒に買いに行くようにしています。 例えば、靴とかバッグとか、ざっくりしたものを決めておいて、相手が試着したりお店の人と相談しながら吟味する様子を見…
人は、「傷ついたじぶん」を見つけてはじめて、「傷ついたじぶん」を見つけてもらってはじめて、「痛かった」って言える。 ここ最近のセッションを通して、改めて思うことです。 でも、「傷ついたじぶん」を直視することも、誰かに見せることも簡単じゃない…
2月、3月と久しぶりに研修の講師をさせていただく機会があり、ここのところ、どんな内容にしようかと、構想を少しずつ練り始めています。 そこでお話ししてみたいなと思っていることの一つは、「感情の要素分解」についてです。 ここに書いてしまっては、貴…
明けましておめでとうございます。 旧年中は、大変お世話になり、ありがとうございました。 今年からは、当ブログの更新頻度を2週間に1度とさせていただきます。 これを決めたとき、ふっと身体の力が抜けて、楽になる感覚がありました。 今の自分に合ったペ…
開業して、2年目の冬を無事に終えようとしています。 今年も多くの方に助けられ、励まされてきました。 心より、御礼申し上げます。 まだwaiting listにてお待ちいただいている皆さんには、年内にご案内ができず、大変申し訳なく思っております。 1月には数…
自由が丘カウンセリングオフィスの年内最後の開室日は、12月25日(土)です。 12月27日(月)〜1月3日(月)までお休みし、2022年は1月4日(火)より開室いたします。 ブログの更新も、年内は21日までとなります。 今年は週1回の更新を目標に掲げつつ、11月…
カウンセリングを通して、自分の感情との付き合い方を知っていくと、クライエントさんの口から自然と、「部屋」や「スペース」「場所」といった自分の感情の居場所を表す言葉が聞かれるようになります。 このように、自分の中に感情の居場所や置き場所ができ…
カウンセリングの中で起こる、一つの重要なターニング・ポイントとして、「見つけてもらう」という体験があります。 今まで親にも先生にも見つけてもらえなかった、クライエントさんの気持ちや意思、体験に、カウンセラーが気づくことができると、クライエン…
ここしばらく、ブログの更新をお休みしていました。2週間ぶりの更新となります。 「感情を感じる」というのは、言葉で言うほど簡単なことではないなぁと、この仕事をしているとよく思います。 感情は、重要な相手との関係を守るために犠牲にされがちです。 …
世の中にアンフェアなことはたくさんありますが、私たちもつい、自分自身に対してとてもアンフェアな態度を取ってしまうことがあります。 それは、「過去の自分の行動を責める」ことです。 手首に残った傷。親に吐いた暴言。自分の感情を切り捨てたこと。居…
歩き続けるよりも、立ち止まってみたほうが、今いる場所がよく見えるものです。 カウンセリングの時間は、長い人生の中での「立ち止まる時間」なのかもしれません。 立ち止まるというのは、勇気がいることです。 周りの人が足を止めずにどんどん進んで行く中…
「海外の研究によると、人間の基本感情は、怒り・恐怖・悲しみ・嫌悪・喜びの5つ」 と知った心理学を勉強していない友人が、 「日本では、喜怒哀楽って言うよね。ポジティブ感情が2つ入っているから、こっちのほうがいい」 と言うのを聞いて、なるほど!と思…
カウンセリングをしていて、心が躍る瞬間、感動で肌が泡立つ瞬間があります。 それは、クライエントさんが「新しい自分に出会った」と感じてくださる瞬間です。 今までずっと、相手に思ったことをはっきり伝えられなかった。 今までずっと、他人は信用できな…
思考には思考の文脈があり、感情には感情の文脈がある。 この2つの調和が取れなくなったとき、人は、「自分には今、カウンセリングが必要だ」と感じるのかもしれません。 私たちは、子どもの頃から「考える」トレーニングはたくさん受けてきますが、「感じる…
私たちが生きていく上で、個人の感情と、大切な人との関係のどちらを優先しているかというと、後者のほうです。 私たちは、特に子どもの頃には、自分を守り、身の回りの世話をしてくれる大人がいないと、生きていくことができません。 そのため、自分の感情…
前回、有害な恥(toxic shame)という感情への対処法として、感じて受け入れるのではなく、「距離をとって眺める」ほうがよいという記事を書きました。 有害な恥とはどういう感覚かについても、以下の記事をご参照ください。 emotion-lab.hatenablog.com な…
・いつも自分がすることに自信が持てない。 ・できていることがあっても、いつもできないことのほうにばかり気を取られてしまう。 ・仕事で優秀な結果を残しても「こんなの大したことない」「ほかの人はもっとうまくできる」と思って、自分を褒めてあげられ…
emotional abuse、つまり、感情面での虐待は、体験している本人にも、なかなか言葉にしにくいものです。 emotional abuseの多くは、ふたりの人物の間で起こる感情調整の失敗で、親をはじめとする大人が、何らかの要因によって子どもの感情に適切に対処してあ…
強い心と聞いて、みなさんはどんな心のあり方をイメージするでしょうか。 ・他者からの評価を気にしない。 ・人から何を言われても自分の考えを貫く。 ・自信がある。 ・ブレない。 こうしたあり方が良いものとされる一方、最近では、これらの特徴を備えた(…
先日、クライエントさんとの深いセッションが続いた日の夜に、とても不思議な体験をしました。 夢に、高校生のときに亡くしたペットのワンちゃんが出てきて、夜中にふと目が覚めました。 このこと自体はよくあることでした。 このワンちゃんには、亡くなると…
カウンセリングの中で、怒りが出てきたり、悲しみが出てきたりすることは、とても大切なことです。 でも、注意していただきたいのは、「感情は、ただ表せばよいというものではない」ということです。 私たちは感情を表していても、十分に感じていないことが…
食べ物を慌てて飲み込まずに、よく味わって食べると、匂いや味、舌触り、歯ごたえがよくわかって、大きく深呼吸したときのような心地よさが広がり、食べ物のありがたみが感じられます。 感情も同じように、ゆっくり時間をかけて味わってみると、心の栄養にな…