傷つきを抱えた部分が自分の中にある人には、どことなく幼く見える瞬間があります。
カウンセリングの場面でそんな様子が見られたら、AEDP(加速化体験力動療法)ではクライエントさんの中にいる子どものパーツ、子どもの部分が出てきていると考えます。
それは、クライエントさんにとってはつらくて思い出したくない昔の自分でも、カウンセラーにとっては「よく出てきてくれたね」と言って、歓迎したい部分です。
(クライエントさんも本当は、そう感じたいはずなのです)
痛みや傷つき、つらさはあくまで主観的なもの。
その大きさや深刻さを比べたり、評価したりするのは、カウンセリングの場ではあまり意味を持ちません。
大切なのは、子どもの頃の自分の痛みや傷つきから目を背けずにそれを見てあげて、その痛みや傷つきに幼いなりに対処しながらやってきた自分を、愛おしく思うことだと思います。
IFS(内的家族システム療法)では、これを“witnessing”と呼んで、カウンセリングの大切な段階の一つに位置付けています。
ただ、「見てあげること・目をとめてもらうこと」が、人の成長において大切なことなんだということがよくわかります。
つらかった時期の自分の写真を見たり、その年代の子どもがどんな感じかを外に出たときに観察するのもいいかもしれません。
たいていは、自分が思っているよりずっと幼く、あどけなくて、
「あぁ、自分はあんなに幼いときに、いろんなつらい気持ちを抱えていたんだな。まだ子どもだったのに」
と、自分に対して優しい気持ちを持つきっかけになるでしょう。
親や頼りにしていた人から、愛情や適切な情緒的サポートをもらえなかったことは悲しいことですし、その悲しみをしっかりと感じ、自分に何が必要だったかを明確にすることで、大人になった自分から、昔の自分に必要な言葉をかけてあげることができます。
得られなかったことをしっかりと悲しむと同時に、自分がどんなふうにそれを埋めてきたかを振り返ることも大切です。
無力で何もできなかったと思っても、何かしら自分を守るためにやっていたことがあるはずです。
それは、その当時のその状況において常にベストな選択でした。
人から何を言われたとしてもそれは結果論であって、誰もあなたがやった以上の対処をすることなんてできません。
だから、大人になった今、子どもの頃の自分の隣にそっと座ってみませんか。
そして、その子にとって必要だった一番の理解者にあなたがなってあげましょう。