カウンセリングの中で、特に大切だと感じる瞬間は、クライエントさんがほっとする様子が見て取れるときです。
ほっとするときは、気持ちが楽になり、身体がほぐれるだけではなく、視野も広がり、思考もクリアになります。
「これが、本来のこの人の状態なんだよなぁ」と、一緒にいながらいつも思います。
例えば、誰かに認めてもらいたくて、頑張り続けて、それでも思うような結果を出せない自分を責めていた人が、
「誰かに認めてもらおうとするんじゃなくて、自分で自分を認めることが大事なんだ」
と気づいたら、それまで頑張りに時間を費やしてきた日々や、いつか他者からの承認を得られるのではという期待を手放すことの悲しみはあっても、どこかほっとするものです。
「ほっとする」という体験は、しつけや学校教育の中で、それほど重きを置かれない感情ですが、この「ほっとする」体験こそ、
「今、自分が考えていることや感じていることは、正しいんだよ。それでいいんだよ」
と、私たちを幸せと健康へと導いてくれるものなのです。
本当の気持ちを感じて、言葉にできたとき。
自分にとって害のある人物や環境から離れることができたとき。
自分の弱みや足りないところを認めたとき。
複雑な思いの中で、どこかほっとする感覚があるはずです。
それに気づいたら、虫眼鏡で見るように、ぜひその感覚に意識を向けてみてください。
そうすれば、きっと自分に対する優しい気持ちが出てくるはずです。
今までよく頑張ってきたね。
やっと、ありのままの自分になれたね。
完璧じゃなくたっていいんだよ。素敵なところなんて、他にいくらでもあるんだから。
背伸びをやめると、地に足がつく。
その視点から見る世界のほうが、ずっとフェアで、優しくて、居心地がいい。
そんな発見が、カウンセリングの中ではよく起こっている気がします。