カウンセリングは、「誰かと一緒にいながら、自分の心の声に耳を傾ける練習」をする時間です。
「和をもって尊しとなす」ことを美徳として教えられてきた私たちは、場の空気や相手の気持ちを感じ取るセンサーばかり磨いてきてしまい、場の空気や相手の気持ちと同じくらい、自分の気持ちも大切にしてよいのだとは、なかなか思うことができません。
頭ではわかっていても、なかなか実行できないという感じでしょうか。
そのため、家族や友人、パートナーといった身近な人と一緒にいても、自分を蔑ろにする癖がついてしまっていることも多々あります。
そのようにして過ごしていると、モヤモヤやイライラといった不快な気分に心が支配されることが多くなったり、自分がいる意味がわからなくなったり、誰といても自分の存在をひどく軽んじられるようで、人知れず傷ついてむなしくなっていったりします。
植物が日光に当ててもらえず、水やりもされないと萎れていってしまうように、私たちも、自分の感情や体験にしっかりと耳を傾けてもらえないと、元気がなくなっていってしまうのです。
自分の感情や体験に、しっかりと耳を傾けてもらう。
カウンセリングは、それができる貴重な時間です。
いつも誰かの陰に隠れて、後回しになっていた自分の感情や体験に光が当たることは、最初は慣れなくてドギマギしたりソワソワしたりして、居心地よく感じられないこともあるかも知れません。
少しずつそれに慣れてきて、クライエントさんの顔がふわりとうれしそうにほころぶ瞬間が、私がこの仕事をやっていてよかったと思うひとつの大好きな瞬間です。