Talk to Your Heart

〜自由が丘カウンセリングオフィスのblog〜

2015-01-01から1年間の記事一覧

ネガティブ感情へのantidote ー 情けは人の為ならず

嫌味な先輩からのとげのある言葉。 上司からの不条理な叱責。 話を聴かないパートナーに、反抗期の子ども。 周りの人の迷惑も考えず、到着した電車に我先に乗り込むオバサン。 ストレスのもとは、1 日のうちにありすぎるほどあるかもしれません。 「なんで自…

亡くした後に残るもの

熱く、大切な意味を持つ感情は、悲しみであれ、怒りであれ、震えやバイブレーションをともなって、身体の深いところからこみ上げてくるものです。 大切な人を失った悲しみ。 そこには深い悲しみだけではなく、その人を恋い慕い、求めてやまない愛もまた、同…

感情と生理学の切っても切れない関係

今日は感情を生理学的観点からみた面白いニュースが2つほど記事になっていました。 ひとつは、愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンが話題になっているこちらの記事。 <a href="http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150417-00000002-mai-soci" da…

共感と演技、そしてコミュニケーション。

カウンセリングの共感のプロセスと、役者の演技のプロセス。 このふたつは、何だかとてもよく似ているのかもしれない。 そんなことを思わせてくださったのが、坂東玉三郎さんのホームページのこちらの記事です。(「私の考え」というトピックの「演技」をご…

感情擁護派の視点から その④ つながりの橋を架け直す

感情的になると、人との関係が壊れてしまう。 感情が忌み嫌われる要因の一つに、こんな懸念や心配があります。 特に、アジア圏の文化においては、個人は西洋ほど独立した存在ではなく、人との関係の中に自己を見出す傾向が強いため、人との関係やつながりが…

感情擁護派の視点から その③ 感情を感じることと表すことは違う、と知る。

性に関する教育、食に関する教育、があるように、感情に関する教育というのもあったらいいのにな、と思います。 感情に関する誤解や無知によって、私たちは不必要に自分や他人を苦しめている。 そんなふうに感じることが少なくないからです。 例えば、カウン…

responsibility “応える”ちから

人として生きる上で、対人援助という仕事に従事する上で、個人的に大切にしたいことをたくさん言葉にしてくださっているのが、哲学者の鷲田清一氏です。 迷ったとき、悩んだとき、鷲田氏の著作を紐解くと、「まぁまぁ、ちょっと一息つきなさいよ」と、私の居…

ミドルエイジ・クライシス ー マフィアも悩む家族、仕事、時代の変化

マフィアが心理療法を受ける話と言えば、『アナライズ・ミー』しか知りませんでしたが、最近、こんな海外ドラマがあることも教えていただきました。 ザ・ソプラノズ 2ndシーズン 哀愁のマフィア コレクターズBOX [DVD] 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・…

感情擁護派の視点から その②ー感情について知ること

この夏に日本でも公開になるディズニー映画は、感情がキャラクターとして登場するようです。 ディズニー/ピクサー映画『インサイド・ヘッド』公式サイト インサイド・ヘッド|映画|ディズニー|Disney.jp | 進化の過程で、あらゆる感情はすべて必要で意味…

コミュニケーション能力云々という前に

「コミュニケーション能力がない」という言い方は、個人的にあまりよいとは思えません。というのも、このような言い方は、あたかもコミュニケーションの当事者のうち“どちらか一方”に「コミュニケーション能力がない」ために、会話が成立しないといった印象…

感情擁護派の視点から その①ー記憶を刻印する感情。

こんなblogを書いている私の周りが、感情擁護派ばかりかと言えば、決してそのようなことはなく、身近なところに、感情を回避したり、厄介者扱いしたり、体験から閉め出している人はたくさんいます。 (○○擁護派、という言い方は、松岡正剛さんのこちらの作品…

いろんな形の家族愛。

今週のお題「ふつうに良かった映画」 今日は、hatena blogのお題に乗って映画のご紹介です。 最近は、家族や家族愛に関する作品をよく見ていました。 姉妹愛編はこちら。 アナと雪の女王 MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワ…

「自分がある・自分がない」という感覚

「あの人はしっかり自分があっていいね」「あいつは、自分ってものがない」 こんなふうに、私たちはしばしば「自分がある・自分がない」ということを話題にします。 ただ単に自分=意思と置き換えられる場合がほとんどかもしれませんが、もっと深刻な状態を…

Affect Phobia ―感情恐怖という現象

affect phobia。感情恐怖、という言葉があります。 感情は、本来適応的なもので、私たちが生きる上で大切な情報を教えてくれるものですが、一方で不適応的な思考や行動の源となるものでもあります。 後者のような感情は、感情を感じる主体である個人の体験か…

幸せが生まれる場所

幸福の青い鳥は、自宅の鳥かごの中にいた。 メーテルリンクの童話『青い鳥』のこんな結末は、冒険や探検が大好きな子どもには何だか物足りないかもしれません。 幸せがどこにあるのか。一体何があれば自分は幸せになれるのか。 大人になっても、人は誰しも一…

すれ違う気持ちーアンビヴァレンスという切なさ

近年の乳幼児研究において、乳幼児は生後たった5週間で、他者が自分に対して情緒的な反応をしてくれないと、不安や不快さを示すことが明らかになっています。 乳児の対人感覚の発達 心の理論を導くもの 作者: マリア・レゲァスティ,大藪泰 出版社/メーカー: …

「心の病」の定義を考え直す。

本日もNY Timesの記事をご紹介します。「Redefining mental illness」 http://www.nytimes.com/2015/01/18/opinion/sunday/t-m-luhrmann-redefining-mental-illness.html?_r=0 心の病を抱えた状態と、心が健康である状態との境界線は、必ずしも明確なもので…

危機は転機。

精神科のクリニックで、日々患者さんにお会いしていた頃から、よく感じていたことです。 危機は転機。 当事者ではないから思えることなのかもしれませんが、病が患者さんに訪れた意味や理由が必ずあると感じられるケースは少なくありませんでした。 病を災難…

うつ病治療には抗うつ薬か、心理療法か

今日は、1月8日のNY Timesの記事「To Treat Depression, Drugs or Therapy?」をご紹介します。 http://well.blogs.nytimes.com/2015/01/08/to-treat-depression-drugs-or-therapy/?_r=0 精神科のクリニックを受診する患者さんの中には、薬に対する抵抗を示す…

記憶という営み

昨日は、阪神淡路大震災から20年という節目の日でした。 河瀬直美監督の映画『沙羅双樹』の中のこんな言葉を思い出していました。 「忘れていいことと、忘れたらあかんことと、ほいから忘れなあかんこと」 沙羅双樹 デラックス版 [DVD] 出版社/メーカー: ジ…

感情と“かかわる”

大人になるということは,感情を理性で律することができるようになることだと、多くの人が思っています。 もっともらしい理屈や説明を、私たちはスポンジのような柔らかい心の盾にして,厳しい現実をやりすごす術を見つけていくのでしょう。 しかし、感情に…

向き合う、ということ

向き合ってもらえない 自分を見てくれない ずっとひとりぼっちだった カウンセリングの場では、そんな訴えをよく耳にします。 向き合う、見る、一緒にいる。物理的なことではなく、心のありようがいつも問題になっているように思われます。 そして、こんなふ…

血のつながり、心のつながり

少し前に「そして父になる」という映画が話題になったこともありました。 年末には家族内での殺人のニュースも流れ、ここ数年、書店には母娘関係の複雑さを描いた書籍が増えてきたように思います。 母を許せない娘、娘を愛せない母 作者: 袰岩秀章 出版社/メ…

No rain, no rainbow.

人生の目標を諦めるとき。 恋を終わらせるとき。 挫折を味わうとき。 私たちのそばには悲しみがあります。 喪失の悲しみ。英語では grief と呼ばれます。 しかし、この grief を生き抜くのは簡単ではありません。 過去にもご紹介したことがあるかもしれませ…

invisible shame

先日、スーパーで母親が子どもを叱り飛ばしている場面に出くわしました。 そのときの、子どもの表情が今でも目に焼き付いて離れません。 彼は、悲しそうな顔をしていたわけでも、不満そうな顔をしていたわけでもありません。 そこにはただ、“何も感じていな…

虹の比喩

新しい年を迎え、blogのタイトルを一部変更しました。 シンディ・ローパーの名曲 True colors にちなんでいます。 大好きな虹のモチーフが、この曲と私を巡りあわせてくれました。 心理学の世界では、感情(emotion)と情動(affect)とを区別することも多い…