シネスイッチ銀座でやっと観ることができました。
映画『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』(9/10まで)
『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』予告編 (7/17公開)
「教会が沈黙してきたこと、何もしなかったことの責任を問いたい」
という台詞がとても印象的でした。
映画の中では、被害を見つめるさまざまな眼差しが描かれています。
大人になり、親になったかつての少年たちは、怒りと正義をもって被害から目を背けずに立ち上がります。
妻や子どもたちは、立ち上がった父親の勇気を称え、寄り添い、励まします。
かつての少年たちの年老いた親たちは、罪悪感から息子を支える者もいれば、「誰にでも問題はあるんだ」「もういいだろう、大人なんだから」と蓋をして向き合うことから逃げる者もいます。
糾弾される教会の関係者たちは、表向きには誠に遺憾だという顔をしながら、真実から目を背け続けます。
警察やマスコミは、この大変な事実を明るみに出そうとします。
自分は登場人物の中の誰と重なるか。
自分を傷つけた相手は誰と重なるか。
自分は誰のようでありたいか。
これは決して、対岸の火事ではありません。
私たちの誰もが、どこかで出会う可能性のある問題です。
神父による性加害ではなくても、教育機関での性加害、職場内のハラスメント、家庭内の暴力、医療機関の患者や介護施設の利用者に対する虐待など場所と被害の形を変えて、さまざまな場面で、日本でも起こっていることです。
性被害のトラウマを抱えた男を演じ、セザール賞受賞俳優が語る!『グレース・オブ・ゴッド』インタビュー
こうした問題について語ることはもちろん、事実を見つめられる眼差しをもつことと、被害を告白されたときに、それをしっかりと聞き届ける耳を持つことが大切だと感じます。
フランソワ・オゾン監督のインタビューも読み応えがありました。
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