Talk to Your Heart

〜自由が丘カウンセリングオフィスのblog〜

感情に関する誤解:つらい気持ちは感じないようにする

心のバランスを保つために、

「つらい気持ちを感じないようにした」

とおっしゃる方は、決して少なくありません。

でも、私たちの心は、ある特定の感情だけを感じないようにしたり、反対に特定の感情だけを感じたりするようにはできていません。

ある感情を、心の外に追い出すと、ほかの感情もいつの間にかいなくなってしまうのです。

心の外に追い出された感情は、問題行動になったり、症状になったり、ほかの感情を引き連れていなくなったりして、

「そのやり方は間違っているよ!」

と、私たちに教えてくれます。

つらい感情は確かに、厄介で、面倒で、あなたを困らせるものに見えるかもしれません。

そして、私たちはつい、そういう厄介者を追い払うことで、心の平穏を取り戻そうとします。

しかし、そうやって訪れる平穏は、平穏の顔をした虚無感です。

最初は穏やかに感じるかもしれません。

でもだんだん、それは「空っぽ」なのだとわかってきます。

心の中から、気持ちを追い出さないで済むような工夫をしてみましょう。

マンションみたいに、それぞれの感情のお部屋を作ってあげるイメージをするのもいいかもしれません。

仕事柄、舞台の上にある感情を出しておかないといけないときでも、その舞台袖には、あなたが一人の人間として感じている他の感情が控えていると思ってみるのもいいでしょう。

感情も人間と一緒で、気にかけてもらっているとわかると、我慢してくれるようになります。

職場で泣くのが適切でないなら、家に帰ってからしっかり泣きましょう。

パートナーに対して怒ってはいけないと思っても、一人になってから「あのときは何に腹が立ったの?」と自分に聞いてあげましょう。

その瞬間に相手をしてあげられなくても、気にかけているのが伝われば、感情があなたを置いて家出してしまうことはないのです。

そんなふうに感情の相手をしてあげることで、感情との付き合い方がわかってきます。

感情がいつもあなたのために働こうとしていることにも気がつけるかもしれません。

感情との付き合い方って、実は、大切な人との付き合い方とそう変わらないのです。