先日、emotionalな動画3選という記事を書きましたが、私は専門書だけではなく、さまざまな映画や小説、ドラマ、音楽などから感情について学ぶのも好きです。
感情に関する映画でわかりやすいものを一つあげるとするなら、『インサイド・ヘッド』です。
あの映画は、主人公の女の子の心の中から、悲しみがなくなってしまうというお話です。
この映画の登場人物の心の中には、怒り・恐怖・喜び・悲しみ・嫌悪という5つの基本感情がいるという設定で、これは心理学の理論にも適っています。
悲しみは、欧米の文化では「弱々しい感情」の代表格で、嫌われやすい感情です。
この映画がもし日本で作られていたら、なくなる感情は「怒り」だったかもしれませんね。
この映画を見ることで、この5つの基本感情の役割と働きを学ぶことができます。
加えて、悲しみを感じられない・表すことができないと、どんな問題が起こるのかということもよく描かれています。
主人公の女の子は、引越しによって大好きな場所や友達と離れたことを悲しんでいます。
でも、心の中から悲しみがいなくなってしまったことで、悲しむことができなくなり、家族に怒りをぶつけてしまうのです。
そうすると、家族も怒りで反応するので、関係がこじれて、彼女は家出をしてしまいます。
しかし、長距離バスに乗り込んだところで、女の子の中に悲しみが戻ってきて、ようやく彼女は家族に自分の悲しみを伝え、分かち合うことができます。
つまり、「本当の気持ち」を感じられなくなると、人間関係にも問題が生じ、孤独感が募ることがとてもわかりやすく描かれているのです。
現実では、映画のように感情がひとりでに戻ってきてくれることはないので、本当の気持ちを感じるための作業が必要になります。
カウンセリングは、まさにこの作業のひとつの形なのです。