思いやりには3つの方向があります。
1. 自分から他者へ(自分→他者)
2. 他者から自分へ(他者→自分)
3. 自分から自分へ(自分→自分)
つまり、
1. 思いやりをあげる
2. 思いやりを受け取る
3. 思いやりを自分に向ける
ということですが、これは一般的に、下に行くほど難しいと言われています。
なので、「自分を大事にしましょう」と言われても、簡単にはできないと感じるのは当然なのです。
私たちの中の多くの人が、人に思いやりをあげるのが得意で、受け取ることもそこそこできて、でも、自分に優しくするのはなかなかできません。
そんなときは、「あなたの大切な人が、あなたと同じ状況に置かれていたら、どんなふうに声をかけると思いますか?」と、クライエントさんにも尋ねてみます。
そうすると、「あぁ、確かに。そんな言い方しないで、もっとこう言いますね」と、自分に対して優しさではなく厳しさを向けていたことに気づいてくださる方が多いです。
自分になかなか優しくできない人は、自分の親友になったつもりで、一週間過ごしてみると決めてもいいかもしれません。
鏡に映った自分の姿を思い浮かべてみてください。
もし、その鏡にマジックで文字を書くことができるとしたら、あなたがいつも自分にかけている言葉を、そこに書いてみましょう。
・頭が悪い
・太っている
・だらしない
・かっこ悪い
・怠け者
・ミスが多い
そんな言葉が並んでいませんか。
そうしたら、今度は、大切な親友の姿を思い浮かべてみます。
親友の姿が映った鏡には、どんな言葉を書きますか。
・優しい
・賢い
・スタイルがいい
・勇気がある
・みんなを笑わせてくれる
自分に対する言葉とは正反対の言葉が並ぶかもしれません。
それくらい、私たちは、自分を見る目と他の人を見る目が違うのです。
たまには、自分の親友になって、自分の見方を修正する時間を持ちましょう。
自分を大切にできなくても、あなたの中に優しさがないということではないのです。
方向が違ってしまっているだけ。
思いやりの方向を柔軟に動かして、必要なときには自分向きに、思いやりの矢印を向けてあげることが大切です。