日々、カウンセリングをしていると思うことがあります。
それは、「体験は歳をとらないし、体験に私たちが頭で考える理屈は通用しない」ということです。
例えば、カウンセリングをしていると、クライエントさんが問題だと感じている自分の反応が、昔の出来事に繋がっていることが明らかになってきます。
そうすると、ほとんどのクライエントさんはこう仰るのです。
「そんな昔のことをいつまでも引きずっているのか」
でもおそらく、体験の立場に立ってみると(何だかおかしな言い方ですが)、プロセスの完了していない体験や、最後まで感じ切っていない感情体験は、
「最後まで体験するまで、先に進めない。だから大事にとってある」
ということなのだと思うのです。
いつまでも引きずっているというのは、あくまで頭の理屈であって、身体が体験していることとは、そもそもの前提が違うと言ってもいいくらいです。
しかし、体験には理屈のように言葉になりにくいですし、目にも見えません。
そのため、体験は理屈よりもずっと軽んじられやすく、否定されやすいのです。
こうした体験からのメッセージを、クライエントさんへわかりやすく伝えるのも、カウンセラーの役割だと感じます。
最初は耳慣れないことであっても、不思議と、体験からのメッセージは「頭でわからなくても、腑に落ちる」ものです。
体験は、私たちが普段考えていることや、今まで当たり前と思ってきたこととは大きく違う筋書きや理由を持っている。
そんなふうに思って、ぜひ自分の体験に興味を持ち、体験との出会いを楽しんでいただきたいと思います。