Talk to Your Heart

〜自由が丘カウンセリングオフィスのblog〜

カウンセラーがリスクをとることの大切さ

多くの人が抱える生きづらさの理由の一つは、「自分自身に対して批判的である」ことです。

カウンセリングに訪れる最初の悩みが、対人関係や職場でのうまくいかなさといった、一見すると「外の世界との関係」に関することであっても、お話を聞いていくうちに、それが本当は自分が自分に対してとっている態度、つまり「自分自身との関係」の問題であることがわかってきます。

そして、多くの場合、クライエントさんは、自分が自分自身に対して批判的であるということに、気づいていません。

なぜなら、ずっとそうして生きてきたからです。

聴いているカウンセラーのほうが、つらくて胸が痛くなってくるような批判も、クライエントさんにとっては自然な、いつも繰り返されてきた普段通りものです。

その言葉が、胸に突き刺さり、自信を失わせ、活力やエネルギーを奪っていくものであり、決して穴離前に投げつけられるものではなく、変えることのできるものだと、クライエントさんに気づいてもらうために大切なのは、「カウンセラーがその言葉を聴いて感じる感情を、自己開示すること」であり、「あなたは、たとえ自分自身からであっても、そんな風に扱われていい人間ではないと伝え、クライエントさんの尊厳を守ること」です。

それができる人間として、カウンセラーはクライエントさんの前にいます。

クライエントさんの日常に、そうした人間関係があれば、それを足がかりとすることもできるかもしれません。

しかし、

「そんなふうに、いつも〇〇さんがご自分に言っていると思うと、私はすごく胸が痛みます」

「その批判の声は、あなたを助けてきたものでもありますね。でも、その一方で、その批判の言葉があることで、せっかくたくさんのことを成し遂げてきても、達成感を味わうことができず、もっともっとと急き立てられるようで、私は何だか苦しい感じがします」

などと伝えることで、クライエントさんが自分の内面で起こっていることに、客観的な眼差しを向ける助けになります。

こうしたカウンセラー側の胸の内を明かす言葉は、「クライエントと距離が近づきすぎる」ように感じられ、カウンセラーの心に怖さが湧き起こることもあります。

しかし、カウンセラーが先のその怖さを克服し、クライエントさんの前で自分のそのときに感じた気持ちを率直に言葉にするというリスクをとることで、クライエントさんはこれまでの他者との関係、あるいは自分自身との関係の中で、いびつに歪められてきた自分を、ようやく歪みや傷のない鏡で見ることができるようになります。

今まで鏡に映っていなかった、自身の傷つきや痛み、あるいは誠実さ、正直さ、尊厳、聡明さを、カウンセラーが差し出す鏡の中に一緒に見出していくことができます。

あなたの本質は、そんなに歪なものじゃない。もっともっと素敵で、価値あるものだと、時にカウンセラーが自信を持って、鏡を掲げることは、とても大切なことだと思います。