カウンセリングの中では、自分の感情に気づき、しっかりと感じることも、もちろん大切なのですが、そのプロセスを「カウンセラーとのつながりを感じながら、体験できる」ことも、同じくらい大切です。
とは言え、私自身も数年前までは、「他の誰か」と気持ちを分かち合うことなんて、本当にできるのだろうかと半信半疑でした。
私の場合、生身の人間よりも、小説や映画、歌詞などを通じて、自分の心を映し出してくれる人物に出会うことのほうがずっとずっと多かったからです。
しかし、AEDP(加速化体験力動療法)の学びと実践と通じて、仕事の中でも実生活でも、生身の人間と気持ちを通わせることへの恐れや疑いが、薄れてきているのを感じます。
「自分の感情に気づき、しっかりと感じる」だけでも、変化は起こります。
ただ、より深く長く続く変化のためには、「その感情をつながりの中で感じる」ことが不可欠です。
カウンセリングをしていて思うのは、いかに私たちが「つらい感情と、たったひとりで向き合う」ことに慣れてしまっているか、ということです。
「つながりの中で感じるって、どういうこと?」と、まったくピンとこない場合もあるでしょう。
「簡単に、わかったなんて言わないでほしい」と、背を向けたくなるかもしれません。
感情はひとりで感じるほうが安全だと、繰り返し学んだ結果でもあるでしょう。
「感情を分かち合ってもいいと思える誰か」として、クライエントさんとともにあることができる。
カウンセリングという営みは、そこから始まっていくのかもしれません。