トラウマは、自分を圧倒するほど大きくつらい感情の中で、一人ぼっちになることから生まれる。
これは、多くの人に知っておいていただきたいことです。
心が弱いから。
精神に何らかの欠陥があるから。
このような理由で、人はトラウマを抱えるわけではありません。
トラウマからの回復の途上で、多くの人はこの「つらい感情の中で、一人ぼっちだった自分」を見つけます。
最初は、そんな自分があまりにも惨めで、目を背けてしまいたくなるかもしれません。
見つけた自分があまりに幼くて、かわいそうになって、思わず涙が込み上げることもあるでしょう。
しかし、次第にその自分が、自分の持ちうる限りの力で精一杯に、自分自身や、大切な人を守ろうとしていたこともわかってきます。
その真摯さ、健気さ、一生懸命さに、カウンセラーの私もいつも胸を打たれます。
「一生懸命だった自分を、何だか愛おしく感じます」
「本当に、健気だなぁって思いました」
そんな言葉と共に、クライエントさんの目から優しい涙がこぼれるとき、「つらい感情の中で一人ぼっちだった」かつてのクライエントさんが、もう一人ではないのを感じます。
カウンセラーと、大人になったクライエントさんに見つけてもらった、かつてのクライエントさんが、はにかんで笑っていたり、「頑張ったでしょ」と胸を張っていたり、やっと見つけてもらったとホッとして泣いている姿が、カウンセラーの私にも見えるような気がするのです。
たくさんのつらい感情と戦いながら、自分自身や大切な人のことを守ってきた自分。
それは、弱さの烙印などではなくて、むしろ強さの証明なのだと思います。