Talk to Your Heart

〜自由が丘カウンセリングオフィスのblog〜

カウンセリングですること:曖昧なものをはっきりさせる

私たちは、何かと”包む”ことを好みます。

物を買ったときの包装紙しかり。

お年玉のポチ袋しかり。

昔は手紙を出すときに、最後に白紙を一枚入れることもありました。

言葉を”重ねる”ことは、丁寧な印象を相手に与えます。

こんな文化の中で育つと、”曖昧ではっきりとさせないこと”が、むしろ善であるようにも感じられます。

しかし、感情や体験といった自分の心が感じていることに近づくためには、曖昧さよりもむしろ、”はっきりと”、”鮮明で”、”生々しい”語りが必要になります。

そのため、カウンセリングの中では、時に具体的にすること、特定することが必要になります。

曖昧になっている部分や、ぼかされているところが、”はっきりと”、”鮮明に”なるように聴いていくと、クライエントさんの目に涙が浮かんだり、肩に力が入ってきたり、拳を握りしめたりと、”何らかの感情が起こってきているサイン”が身体に見え始めます。

しかし、こんなときほど、カウンセラーのほうは慎重に、丁寧に進んでいかなくてはなりません。

今でも、お金や品物を包まずに渡すとき、私たちはこう言います。

「”裸”のままですみません」

これまでずっと、感情や体験を”包んで”きたことにも理由があります。

無防備で傷つきやすい裸の心、むき出しの心を、大切に守る必要があったり、あるいは隠さなくてはならないと感じてきたのかもしれません。

曖昧にしていたり、ぼかしたりして”包んできた”感情や体験を、はっきりと、鮮明に、生々しく語ろうとするとき、すでに、多くのクライエントさんはものすごい勇気を振り絞っています。

決して簡単なことではありません。

はっきりと、鮮明に、生々しく語ることに、抵抗を覚えたり、話せない・話したくないと感じる自分に気づくこともあるかもしれません。

そうしたら、ぜひその感覚を、カウンセラーに伝えてみてください。

はっきりと、鮮明に、生々しく語れないことは、恥ずかしいことでも、悪いことでも、ダメなことでもありません。

はっきりと、鮮明に、生々しく話そうとするときに、自分の中でどんなことが起こってくるのか。

それに気づいて、思いやりと関心を持ちながら、その体験をカウンセラーと一緒に見つめていくこと。

そのためにこそ、カウンセリングという場があるのであり、そうするこそが、幸せに生きるためのセルフケアへとつながっていくのです。