Talk to Your Heart

〜自由が丘カウンセリングオフィスのblog〜

2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

内なる他者としての感情

レヴィナスを読んでいると、他者という存在について考えずにはいられなくなる。 レヴィナスと愛の現象学 (文春文庫) 作者: 内田樹 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2011/09/02 メディア: 文庫 購入: 9人 クリック: 25回 この商品を含むブログ (8件) を見…

見る、ということの深さ

見る、ということに、多くの意味を付与している本に出会うことが、最近多いです。 この本の中では、フランス語の動詞regarderには、「見つめる」と「かかわりを持つ」というふたつの意味があるということから、「顔を見ること/かかわりを持つこと」は、単に…

愛するということ

誰かのことを好きになる。 それは、相手が魅力的だから、だと思っていました。 愛されている人には、自分にはない魅力があるからだろう、とも思っていました。 だから、この見方はとっても斬新な気がして、愛するということを逆立ちして眺めている気分です。…

身体よりも言葉よりも、感情で、ひとはひととつながる

感情とつながりの感覚についての、専門誌の連載を読みながら、思ったことです。 ひどいケンカをしたのに、どういうわけか、親近感が高まってしまった。 そんな経験があります。 そのケンカはひどいもので、相手が言っていることがさっぱり理解できなくて、文…

ちょっと変わった話〜皮膚と心

皮膚と心に関する本、けっこうあります。 脳と皮膚は、もとを辿れば、同じ外胚葉から派生する組織です。 皮膚・自我 作者: ディディエアンジュー,Didier Anzieu,福田素子 出版社/メーカー: 言叢社 発売日: 1996/04 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 9回…

すぐそこにある出会い

本を読んでいるときに、自分を肯定されたと感じた経験は、とても多い。 誰かと話しているときよりも、ずっと多いかもしれない。 鷲田氏のこの言葉も、ブログを書くことを後押ししてくれた。 「エッセイには、未知の思考の地平を伐り開く《試み》という意味が…

ないことが育むもの

意味を持つこと。理由のあること。価値のあるもの。目に見えるもの。 私たちはつい、そんなものばかりをほしがる。 そんな中でふと、置き去りになっていくものたちに、なかなか気づけない。 意味のないこと。理由のないもの。価値のないこと。目に見えないも…

人生を編む〜哲学という鉤針

舟を編む、という辞書を作るお話があったことは、記憶に新しいところですが、哲学する・哲学を持つということは、人生を編むことと言えるかもしれません。 舟を編む 作者: 三浦しをん 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2011/09/17 メディア: 単行本 購入: 11…

「コミュニケーション」が孕む矛盾

前回、『「聴く」ことの力』をご紹介しました。 久しぶりに読み返してみても、圧巻の、堂々たる名著ぶりです。 思考から身体の感覚に帰っていくのと同じように、語られること、表に見えることの裏側や深遠に、目を凝らすよう誘われます。 「語ることがまこと…

言葉にならないものを掬い取るには

私の担当の美容師さんが、今年から店長に昇進されました。 昇進の報告をしてくださった折には、「名ばかり管理職です」と茶化していらしたけど、先日お店に伺ったときには「最近の若い子は愚痴を言わないから、何を考えているかわからない」とこぼしていらっ…

生きた知恵としてのマネジメント〜感情と労働

『感情労働と法』。読み進めていくと、感情労働の話は、職場環境のマネジメントの話へと移っていきます。 感情労働と法 作者: 水谷英夫 出版社/メーカー: 信山社 発売日: 2012/09/07 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 感情労働…

労働における感情

感情に労働という言葉を付与する。 このことに、すでに感傷を覚える人もいるかもしれません。 しかしながら、介護、保育、教育、医療といった形で、外部サービスにケアを委ねることが増えてきた昨今では、感情労働の価値や値段を考える必要が出てきたと言え…

感情労働〜おろそかになる自己

前回ご紹介した『死なないでいる理由』の中に、感情労働に関する記載を見つけました。 これからは数回、感情労働について書いてみたいと思います。 職務内容に沿って、それにふさわしい感情の状態や表現をつくりだす、そういう感情の自己管理を社会学では「…

感情=自分、ではないことを知る

身体は自分のもの。 無意識に、私たちはそんなふうに思っています。 「なぜ自殺してはいけないか」を議論するたびに聞かれるのは、「自分の身体をどうしようと、誰に迷惑をかけるわけでもないじゃないか」という自殺肯定派の意見です。 しかし、病気をすると…

感情の器としての身体

あなたに相談してよかった。とても気が楽になった。 ある方がこんなふうに言ってくださって、何だかとても心に響く言葉だと思いました。 あなたに、という言葉で、日常に埋れた自分を救い出してもらったような気分になれたのかもしれません。 また、気が楽に…

励ましは希望の灯り

前回、こちらの本をご紹介しました。 励ましの言葉が人を驚くほど変える 作者: ジョン・C・マクスウェル,弓場隆 出版社/メーカー: 扶桑社 発売日: 2011/06/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 私たちは普段、どんなものによって励まされている…

反応することは自分のためにもなる〜自己効力感

前回、相手に反応することの大切さを書きました。 これは、自己犠牲的とか愛他的ということは決してなくて、自分にとっても良い影響がある行為です。 誰かに応えているときは、応えている側も、自分の存在の手応えを感じているからです。 人の役に立ちたい。…

反応と存在の切っても切れない関係

前回、恥に対する、なかったことにする、見て見ぬふりという反応について書きました。 恥に対してだけではなく、私たちはいろいろな場面で、知らず知らずのうちに反応しないことに慣れすぎてしまっているかもしれません。 反応しないというのは残酷なことで…

見て見ぬふりをされる恥

前回、恥と自意識について書きました。 この恥の意識、日本人はかなり特有なものを持っているように思います。 見るなの禁止 北山修著作集1 日本語臨床の深層 作者: 北山修 出版社/メーカー: 岩崎学術出版社 発売日: 1993/02/20 メディア: ハードカバー クリ…

自意識の今昔、そして性差〜太宰治と西加奈子

西加奈子さんの新刊『舞台』について、ラジオでご本人がお話しているのを聴きました。 舞台 作者: 西加奈子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/01/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 29歳で初めてNYへ行った、自意識過剰な主人公。 NYは、…

感情と呼吸

感情があることを自覚し、否定しないで、ただ認める。 この大切さは、いろんな本やweb上の記事に書かれています。 でも、実際どうやるか、ということまで書いているものはあまり多くないですし、すごく感覚的なものでもあるので、体感しないとつかめないこと…

言葉と思考の限界に、そろそろ世界は気づきつつある。

感情ヒートマップの論文を読んでいても思ったことです。 言葉や思考から、身体や感情へ回帰する流れが、次第に大きくなっているように感じます。 近年のヨガブームもそうですし、先の震災で私たちは、言葉よりも行動すること、ふれあうこと、身体をケアする…

感情ヒートマップを読む 最終回

あなたの心はどこから来るのか?「感情ヒートマップ」生物医学研究が明らかにした、幸福・絶望・愛・怒りの源泉 | DDN JAPAN こちらの記事の元ネタの論文をあたる試みの最終回。 統計は苦手なので、そのあたりはかなり差っ引いてご紹介してしまいましたが、…

感情ヒートマップを読む その③

あなたの心はどこから来るのか?「感情ヒートマップ」生物医学研究が明らかにした、幸福・絶望・愛・怒りの源泉 | DDN JAPAN こちらの記事の元ネタの論文をあたる試み。 今回は、考察(discussion)の部分を見ていきます。 まず、身体の部位は、それぞれ特定…

感情ヒートマップを読む その②

今回は、感情ヒートマップに関する論文のresult、つまり結果に当たる部分を見ていきます。全部で、5つの実験が行われています。 まず、1つめでは、実験参加者に、6つの原初的な感情と7つのより複雑な感情、そして感情を感じていないニュートラル状態の合計14…

感情ヒートマップを詳しく読む その①

これすごい!!! とひとりで大興奮させられた、感情ヒートマップ。 あなたの心はどこから来るのか?「感情ヒートマップ」生物医学研究が明らかにした、幸福・絶望・愛・怒りの源泉 | DDN JAPAN もとの論文へのリンクもあります。もとの論文がまたステキです。 …

感情ヒートマップ!

面白い記事を見つけたので、ご紹介いたします。 あなたの心はどこから来るのか?「感情ヒートマップ」生物医学研究が明らかにした、幸福・絶望・愛・怒りの源泉 | DDN JAPAN 身体と感情ってやっぱりつながってる。

恥は自己全体に及ぶ感情

恥に関しては、原初的な感情であるという説と、自意識とかかわるより高等な感情であるという説と、異なる見解が示されています。 感情研究の新展開 作者: 北村英哉,木村晴 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版 発売日: 2006/11 メディア: 単行本 この商品を含む…

痛みに触れると優しくなる。

人から愛されたいと思うなら、まず、自分自身を愛すること。 よく耳にする言葉ですが、簡単なことではありません。 他の人には優しくできても、自分にはなかなかうまくできないという人のほうが、多いのではないでしょうか。 それは、他者の痛みには触れやす…

感情と月

2014年は、新月からスタート。まさに、始まりにふさわしいタイミングです。 2014年最初の記事は、月と感情について書こうと思います。 月はこれから満ちていくわけですが、こんなふうに日々刻々と形を変える月に、人々は昔から、移ろいゆく自己の存在や心模…