感情とつながりの感覚についての、専門誌の連載を読みながら、思ったことです。
ひどいケンカをしたのに、どういうわけか、親近感が高まってしまった。
そんな経験があります。
そのケンカはひどいもので、相手が言っていることがさっぱり理解できなくて、文字通り「話にならない」言葉の上では到底分かり合えないものだったのですが、なぜか私はその相手のことが、いまでもとても大切なのです。
それはきっと、互いに感情をぶつけあったから、ではないかなと、冒頭の連載を読みながら感じたのでした。
言葉の上では、まったくといいほど気持ちが伝わらなくて、そのケンカの最中にどうしたらいいのかわからなくなるほどだったけれど、私は私なりに、相手は相手なりに、自分のなかにこみ上げてくる感情で、精一杯、相手に向き合っていました。
思い出すと、なんだか痛々しい光景でもあります。
伝わらなさにうちひしがれた出来事でもあったからです。
しかし、同時に、あの出来事がなければ、相手の存在は私にとって、こんなに大きなものにならなかっただろうという、特別な痕跡として、今も心に残っているのです。
手をつないでいても、心が遠くにある。
そんなことを感じることもあれば、簡単に会えないほど遠くにいても、心でつながっていると感じられることもある。
それは、人と人とをつなぐ最も大きな力が、感情にあるからなのではないでしょうか。
感情でつながれるのは、ひととひと、だけではないのかも。。