人から愛されたいと思うなら、まず、自分自身を愛すること。
よく耳にする言葉ですが、簡単なことではありません。
他の人には優しくできても、自分にはなかなかうまくできないという人のほうが、多いのではないでしょうか。
それは、他者の痛みには触れやすくても、自分の痛みには触れにくいからです。
相手にひどい言葉を投げつけてしまったとき、相手の傷ついた顔を見て、はっと我に返ることができます。
ですが、自分に対して「おまえなんか何もできない役立たずだ。生きる価値もない」と思っていたとしても、それが自分を傷つける行為だと自覚する人は少ないでしょう。
自己否定や自己批判は、歯止めが利きづらく、またその批判が他者の目にも見えづらいため、深刻になりやすいと言えます。
そんなとき、カウンセリングでは二つの椅子を用いたセッションを行います。
批判をしている自分と、批判されている自分を、それぞれの椅子に座らせて、対話を行うのです。
想像しただけでは、なんだか気恥ずかしくて、おかしなことに思えるかもしれません。しかし、これは自己批判に効果抜群の方法なのです。
自分を客観的に見ることで、他者の痛みに触れるように、自分の痛みに触れることができるようになるからです。
「あぁ、こんなにつらかったんだね。ごめんね」と、多くのクライエントが、もう一人の自分(これまで批判されてきた自分)に対して言えるようになります。
自分の痛みに触れたことで、自分に対して優しくなれるのです。
自己否定や自己批判が心の中に起こるとき、その言葉に傷ついているもう一人の自分を思い浮かべてみましょう。
その人が必要としているのは、評価や叱責の言葉ではないかもしれません。あたたかい励ましやいたわりの言葉のほうがずっと、その人が前を向く力になるものかもしれません。
椅子のワークの詳細は、以下の2冊をご覧ください。

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