レヴィナスを読んでいると、他者という存在について考えずにはいられなくなる。
そして、内なる他者としての感情や身体感覚について、思いを巡らせてしまう。
他者とかかわることも、決して簡単ではないけれど、もっと難しいのは自分とかかわること。
松岡正剛氏や鷲田清一氏は、しばしば「自分の身体に裏切られる」といった表現をする。 これは、自分のものと思っている身体でさえ、思うままにならないことがあるという、身体の他者性に言及しているのだ。
私たちはいつも、他者を自らの内に内包している。
そして、その他者は、自分がもっともないがしろにしている他者かもしれない。
私たちは普段、胃の存在を意識することはない。
不調をきたしたときくらいしか、私たちは自分の胃を気にかけない。
声を上げない限り、無視し続けてしまう。
感情についても同じことが言える。
他人が気分を害したのではないかと気を揉むことはあっても、気分を害された自分の心配をする人は少ないのではないだろうか。
モンスターペアレントやクレーマーが、自分の内なる他者と向き合っているとも思えない。自分の声を自分が無視しているからこそ、心がちっとも満たされず、他人に過剰な要求をする羽目になってしまうのではないだろうか。
対人援助職には、特に「セルフケア」が大切であると言われる。
身体にいいものを食べ、飲酒や喫煙を控え、運動する。
そんなことばかりが、セルフケアではない。
内なる自分と対話する。
なんて言うと、宗教じみていて胡散臭いと言われてしまうかもしれないけれど、これは本当に大切であると同時に、一番世の中に足りていないことのように思える。
- 作者: イハレアカラ・ヒューレン,KR女史,平良アイリーン
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2010/04/21
- メディア: 単行本
- 購入: 17人 クリック: 158回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
内なる自分、の代表例。ウニヒピリ。
インナーチャイルドよりも、私にはなじみやすかったです。