2014年は、新月からスタート。まさに、始まりにふさわしいタイミングです。
2014年最初の記事は、月と感情について書こうと思います。
月はこれから満ちていくわけですが、こんなふうに日々刻々と形を変える月に、人々は昔から、移ろいゆく自己の存在や心模様を重ねてきました。
月は太陽よりも、人の心に寄り添ってきた存在で、人の精神状態や生死といった、深いテーマにもかかわる天体です。
それに、人と人との感情の交流には、月と人のような関係があります。
例えば、松岡正剛氏は、著書『ルナティックス 月を遊学する』の中で、次のように書いています。
恋愛というもの、自分のことを相手に投入し、相手のことが自分に反射してしまう奇妙な現象だ。このような意識は、われわれがエゴセントリックにはなりきれないことを告げるとともに、自己というものが何かのリフレクションであるかもしれないというおもいを知らせてくれる。(p.23)
月を見る人は、自分の感情を月に投影します。
住み慣れた土地を離れるときに見上げる月は、どこか寂しげに感じられるかもしれません。真っ暗で街灯もない道をひとりで歩いている時に見る三日月は、どこか不気味に見えることもあるでしょう。
そんなふうに、恋愛においても、私たちは恋人の表情や仕草のひとつひとつに、自分の幸せや孤独や不安を見るものです。
ここにあるのは、ゆらぎの感覚です。
私たちは、他者によってどうしようもなく動かされているものです。他者の中に自分を投げ込まずにはいられないのであって、その意味で他者と自分とは、永遠に不可分なものとも言えるかもしれません。
そして、そのわけられなさに感情という存在が大きくかかわっているのであり、感情とは人類が生き延びるために残してきた能力であることを考えると、他者と自分が不可分であるという現象の重みを感じます。
寂しいと死んでしまうのはウサギに限ったことではなく、飢えよりも貧困よりも孤独が、人の命を奪っていくものなのかもしれません。