この夏に日本でも公開になるディズニー映画は、感情がキャラクターとして登場するようです。
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進化の過程で、あらゆる感情はすべて必要で意味を持ってきたからこそ、ヒトに備わっているわけですが、こんなことは学校では教わりません。
ひとつひとつの感情がキャラクターになり、それぞれに大切な役割があることを、アニメを通して多くの人に感じてもらえるとしたら、感情擁護派としてはうれしい限りで、励みになる話題です。夏の公開がとても楽しみです。
ところで、日本で感情というと、喜怒哀楽のイメージがあるかもしれませんが、今回の映画では、ヨロコビ(joy)、イカリ(anger)、カナシミ(sadness)の他に、ムカムカ(disgust)、ビビリ(fear)の5つの感情について描かれるようです。
(カタカナは、映画の中で使われている感情の日本名です。)
『インサイド・ヘッド』主人公となる“感情”たちの日本名が決定!|ニュース|インサイド・ヘッド|ディズニー
この5つの感情は、おそらくダーウィンが分類したcategorical emotion に基づいているのだと思われます。ヒトの感情は本当に複雑で、研究者によって基本的な感情の分類も異なりますし、何を基本的と考えるかという点からそもそも共通理解が得られていません。
Categorical emotion については、また別の機会に詳しくご紹介したいとおもいます。
なので、生物学的に言うと、喜怒哀楽の“楽”はヒトの基本的な感情からは除外されるのかもしれません。
しかし、この映画の話をしたところ、数人の知人から「ポジティブな感情はひとつしかないんだね」と言われ、とても興味深い反応だと(失礼!)思いました。
喜・怒・哀とともに、日本では「楽」が大切にされていることにも、何か意味がありそうです。
楽はもしかすると、笑いやユーモアに置き換えられるのかもしれません。
悲しみや怒り、恐怖など、ネガティブな感情を乗り越えるときに、笑いが助けになることがあります。
アルフォンス・デーケン氏によれば、ユーモアにはそもそも「にもかかわらず笑う」という意味があるそうで、逆境を乗り越えるときのユーモアの大切さを私たちに教えてくださっています。
日本人は特に、感情を表すことへのためらいや恐怖が強いと、個人的には感じています。しかし、「顔で笑って心で泣いて」というふうに抑制しているばかりなのではなく、笑いという形に変えて、難しい感情を昇華してきたのかもしれません。
それは、日本人の感情力が低いということでは決してなく、日本人の感情力の厚みや奥深さについて私たちがまだまだ知らないというだけのことのように思います。