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〜自由が丘カウンセリングオフィスのblog〜

ミドルエイジ・クライシス ー マフィアも悩む家族、仕事、時代の変化

 マフィアが心理療法を受ける話と言えば、『アナライズ・ミー』しか知りませんでしたが、最近、こんな海外ドラマがあることも教えていただきました。

ザ・ソプラノズ 2ndシーズン 哀愁のマフィア コレクターズBOX [DVD]

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主人公のトニーは、マフィアの一員です。

ボスだった父親が他界した後、伯父がボスの座を次ぎますが、実質的に組織をまとめる能力はなく、トニーが父親の右腕や仲間たちの力を借りながら、マフィアをとりまとめています。

能力のない上司をもった中間管理職的な役割と言ってもいいかもしれません。

家庭では2児の父でもあるトニーが、ある出来事をきっかけにパニック発作を起こして、精神科医のもとを訪れるところから物語が始まります。

その精神科医にトニーがいろいろと打ち明ける中で、彼が抱えている夫婦の問題、年老いた母親の介護問題、仕事の問題などが明らかになっていきます。

組織を動かす重圧。トップの孤独。言うことを聞かない部下。

「簡単に仲間を売るようになった」マフィアのジェネレーション・ギャップ。

夫の死後、意固地になり、老人ホームに入ることを嫌がる引きこもりがちな母親。

仕事に理解のない敬虔なカトリックの妻。

中高年の男性は、トニーの悩みを他人事とは思えないかもしれません。

昨年の夏には東洋経済オンラインでも取り上げられていました。


米男性、週末集まり『ザ・ソプラノズ』鑑賞 | 大人の海外ドラマ | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

マフィアの(実質的)ボスといっても、トニーは実に人間的で、セラピーの最中に、涙や恥、落ち込み、不安などさまざまな感情を表します。

そして、彼は「話すことは助けになる」と仲間にぽつりとこぼします。

日本人は、大衆演劇をみて、日々の鬱屈を晴らしてきたという歴史を持つ民族です。

そんな日本人にとっては、このドラマ自体も、今の時代を悩みながら生き抜いている人びとへの処方箋になるかもしれません。