今日は感情を生理学的観点からみた面白いニュースが2つほど記事になっていました。
ひとつは、愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンが話題になっているこちらの記事。
これまで、ヒトとヒトといった同種間では、アイコンタクトや肌の触れ合いを通して、互いにオキシトシンの濃度が上昇することが確認されていましたが、イヌとヒトといった異種間でも同様の結果が認められたとのことです。
飼い犬がじっと自分を見つめてきたとき、頭や身体を撫でてあげているときになぜか撫でている自分も心地よくなる。
それが、オキシトシンというホルモンが分泌されている証拠で、ヒトではよく、授乳中の母子がこの例として取り上げられます。
授乳のとき、赤ちゃんとお母さんの様子を観察していると、ふたりは肌を触れ合わせているだけでなく、まなざしも交し合っていることがわかります。
こうした日々のかかわりのたびに、愛情ホルモンが分泌され、わが子をいとおしいと感じるのです。こうしたオキシトシンの効果から、最近では東大などが自閉症の治療にオキシトシンを用いるための研究をスタートさせています。
もうひとつは、鎮痛剤と感情の関連を論じた、こちらの記事です。
この記事のもととなった英語の論文のタイトルは
「Your pain reliever may also be diminishing your joy」
鎮痛剤が喜びをも奪ってしまう、と警告しています。
Your pain reliever may also be diminishing your joy | News Room - The Ohio State University
「鎮痛剤は、身体の痛みだけでなく、心の痛みにも効く」。
これは先行研究でも指摘されていましたが、この記事では「快と不快が共通の因子によって統制されている」ことを踏まえて、鎮痛剤の服用により、ポジティブな感情への感度が鈍ることが示されています。
感情の理論でも、悲しみや怒りといったネガティブな感情だけを感じないようにすることは難しく、ある特定の感情を避けようとすると、その他の多くの感情に対する感度も鈍ってしまうことが指摘されてきました。
どこかのスイッチだけを切る。
そんなふうに人間の身体は都合よくできてはいないようです。
ホリスティックという言葉も話題になっていますが、日本語には心身一如という言葉もあるように、心と身体はつながっているということを再確認させられた記事でした。