人生の目標を諦めるとき。
恋を終わらせるとき。
挫折を味わうとき。
私たちのそばには悲しみがあります。
喪失の悲しみ。英語では grief と呼ばれます。
しかし、この grief を生き抜くのは簡単ではありません。
過去にもご紹介したことがあるかもしれませんが、「悲嘆のプロセス」は一般には以下のように12段階にも及ぶプロセスがあるとされています。
1. 精神打撃と麻痺状態・・・ショックによる一時的な現実感覚の麻痺。この現象は、心身の痛手を少しでも軽減して自己を守ろうとする生体の自然な反応。
2. 否認・・・事実を受け入れられず、「こんなことが起きるはずない」と思い込もうとする。
3. パニック
4. 怒りと不当感・・・ショックがややおさまってきて、悲しみと同時に不当感や怒りが起こる。無理に感情を押し殺さず、上手に発散させることが大事。
5. 敵意と恨み(ルサンチマン)・・・やり場のない思いを、敵意や恨みという形でぶつける。
6. 罪意識・・・過去の行いを悔やみ、自分を責める。
7. 空想形成、幻想
8. 孤独感と抑うつ・・・人に会うのが億劫になり、気分が沈んで引きこもりがちになる。健全なプロセスのひとつだが、周囲の援助と早めに抜け出そうとする努力が必要。
9. 精神的混乱と無関心(アパシー)・・・空虚さから、どうしたらよいかわからず、あらゆることへの関心をなくす。8.同様、健全なプロセスのひとつだが、あまりに長引くときには精神科医やカウンセラーなど専門家の手を借りることも必要。
10. あきらめ—受容・・・自分のおかれた状況を「あきら」かに見つめ、現実を受け入れようとする。
11. 新しい希望—ユーモアと笑いの再発見・・・希望の光が見えてきて、少しずつ微笑みとユーモアのセンスが戻ってくる。
12. 立ち直りの段階ー新しいアイデンティティーの発見・・・喪失の悲しみを乗り越え、以前とは違った新しい自分を発見する。
Don't worry, be happy. という歌詞のように生きていけるほど、この世の中は幸せに満ちてはいないかもしれません。
どんなに求めても、どんなになりたくても、どんなに望んでも。
かなわないこともあるのです。あってよいのです。
ボロボロになった自分を感じるかもしれません。
もう生きていけないと思うこともあるでしょう。
この先何も良いことなんてないと、将来を悲観してしまうこともあるかもしれません。
でも、このプロセスをやり抜いたときには、何ものにも代え難い、新しく、希望に満ちた、素敵な自分に出会えるはず。
No rain, no rainbow.
ハワイのこんなことわざが、私は大好きです。
ハワイでは、むしろ雨を歓迎するようなところがあります。
雨が降るから、虹が出るのです。