今日のタイトルは、私の大好きな役者さんがある舞台の千秋楽でおっしゃった言葉です。
恐怖は、人間が持つ基本感情(生まれながらに持っている感情)のうちの一つです。
基本感情には、大切なものを守るという役割があります。
大切なものの代表といえば命ですが、ヒトという種においては関係性や所有物、個人の尊厳なども含まれるようになりました。
何かを恐れることは、弱さだとみなされがちですが、恐怖という感情がなければ、私たちはスカイツリーからでも飛び降りてしまうかもしれません。
脳の中の扁桃体という部位で、恐怖を感じるということがわかっていますが、この扁桃体を切除されたサルは、天敵であるヘビに噛みついてしまうという実験もあります。
つまり、目の前に迫った危険から、身を守るという行動が取れなくなるのです。
「命を守る」ために、恐怖はなくてはならない感情です。
恐怖をなくす、何かを恐れなくなる、怖がらないというのは、自然なことでもなければ、強さを示すことにもなりません。
ときに、恐れる心と恥をかくことが天秤にかけられ、「怖がるのはダサい、カッコ悪い」「怖がったら負けだ」「怖がるなんて情けない」と言われることもあります。
しかし、私たちは恐れという感情が鳴らすアラームに対して、もっと敬意を払わなくてはならないと思うのです。
恐怖を感じるからこそ、守れるものがあります。
このコロナ禍において「怖がるのはダサい、カッコ悪い」と言われようと、正しく恐れることを続けている人は、勇気のある人です。
それによって、自分の命を守れるからです。大切な人の命を守れるからです。
そして、この「臆病者になる勇気」は、医療従事者の方々への遠くからのリスペクトと応援にもなるはずです。
この思いを表現する言葉をずっと探していましたが、「臆病者になる勇気」という言葉に出会って、今まで感じていた思いに輪郭が与えられたような気がしました。
10:52からの橋本じゅんさんのスピーチに、この言葉が出てきます。
(アンサンブル代表の方をはじめ、どの方のスピーチも素晴らしかったです!)
よろしければぜひご覧ください。