Talk to Your Heart

〜自由が丘カウンセリングオフィスのblog〜

季節が変わるように、人も変わる。

ここのところ、クライエントとのカウンセリングで、「時間をかけること」の大切さを感じる出来事が、立て続け起こっています。

カウンセラーは、もちろん、クライエントの時間を無駄にせず、なるべく早く悩みを解消できるよう、カウンセリングの技術を日々磨いています。

でも、「今でなければ起こらなかった変化」「時間をかけたからこその成長」というのもあるのだなぁと、つくづく感じました。

カウンセラーが学ぶ病理の成り立ちや、トラウマを克服するプロセスは、確かにさまざまな研究の結果や知識の積み重ねによるものですが、これはあくまでも、治療者側が持つ理屈にすぎないのかもしれません。

カウンセリングをしていると、「正しいことより、優しいことを」というある映画の中のセリフを、折に触れて思い出すのですが、人の身体は医学や科学よりも先にあって、医学や科学の持つ「正しさ」では図りきれない、素朴な「優しさ」で、私やクライエントを助けてくれている。

そんな感じがするのです。

いつ、どんなふうによくなっていくのか。

いつ、どんなふうに変わっていくのか。

冬にひまわりを見たいと思っても、夏が来なければ咲かないのと同じように、クライエント自身の中で「何かが動き出すタイミング」を待ち続けることも、カウンセラーの大切な仕事の1つなのだと、改めて教えられました。

近頃は、「待つ」ということが少なくなり、すぐに結果が出ないと、「ダメだ」「失敗だ」という烙印を押されてしまいます。

でも、それはもしかしたら、土の中で根を生やし始めたタネを、掘り起こしてしまう行為なのかもしれません。

「日日薬(ひにちぐすり)」という言葉もあるように、時間は傷を癒し、人を成長させます。

ただ、その時間が孤独ではなかったと感じられることも、また、とても大切なのではないかと思います。

クライエントさんたちは、ご自身がやり遂げた変化そのものもきちんと認めながら、そこまでの長い道のりを、一人きりではなく、カウンセラーと一緒に歩いて来れたことに、大きな価値を見出してくれているようです。

よくなる。

変わる。

言葉で表現したら、たったこれだけのことですが、その道のりは決して平坦なものでも、楽なものでもありません。

でも、諦めずに歩き続けたら、いつしか明らかに、目に見える景色が変わりはじめ、自分の歩みが力強いものになっていることに気がつきます。

時間をかけて、じっくりと自分と向き合った。

その歴史がある分、変化には深みがあり、説得力があり、未来がぎゅっと詰まっています。

自分の変化や成長を感じて、クライエントさんの心が震える瞬間を、一緒に味わえること。

 

クライエントさんの歴史の生き証人になれること。

それが、カウンセラーという仕事の、1つの醍醐味なのだとおもいます。