先日、クライエントさんとの深いセッションが続いた日の夜に、とても不思議な体験をしました。
夢に、高校生のときに亡くしたペットのワンちゃんが出てきて、夜中にふと目が覚めました。
このこと自体はよくあることでした。
このワンちゃんには、亡くなるときに十分なことをしてあげられなかったという後悔が、私の中に強く残っているせいか、このワンちゃんが庭にいて、「あれ、あの子は死んでしまったんじゃなかったのかな。まだ生きていたっけ」と不思議に思う夢をたびたび見るのです。
いつもと違ったのは、目が覚めたあとでした。
私はAEDP(加速化体験力動療法)というカウンセリングの手法を学んでいるので、そのテクニックの中に出てくるポートレイアルという技法を、自分に使ってみようと思いたったのです(真夜中にベッドの中で!)。
私は、夢の中に出てきたそのワンちゃんの姿を思い浮かべて、本当はこんなふうに送ってあげたかったというイメージをしてみました。
それから、たくさんのありがとうとごめんねを伝えました。
すると、自然と涙が溢れてきました。
ひとしきり泣いた後に、そのワンちゃんが生きていた時間に思いを馳せると、その子は私が幼稚園生の頃にうちに来て、私が地元を離れる年に亡くなったことを思い出しました。
今になって振り返ると、その期間というのは、私が生きづらさを自覚し、心をいつも燻らせながら生きていた時期でした。
地元を離れて、私はどんどん生きやすくなっていくのですが、その一番幼くて、一番つらかった時期に一緒にいてくれたのがそのワンちゃんだったのです。
学校でつらいことがあっても、庭でその子を離してあげて、うれしそうにする様子をみているだけで心が安らぎました。
元気がないときでも、頭を撫でていると、ゴロンと横になってお腹を見せてくるその子の姿をみると、私の気持ちもリラックスしていきました。
今でも部屋にその子の写真を飾っていますが、改めて、この子が私の人生にいてくれた意味を考えることができたのです。
そして、そんなふうにカウンセリングのテクニックを自分に使っていると、ふと「これで私の中から後悔がなくなって、この子が夢に出てきてくれなくなったらどうしよう」と不安になりました。
つらい出来事に、うれしい思い出がくっついていると、こんな気持ちになるんだなと、今までクライエントさんが話してくれていたことを、身をもって体験しました。
自分の不安にはこう言ってあげることにしました。
あの子はいつも見守っていてくれるから、大丈夫。
それに、後悔自体がなくなることも、自分は望んでいないのだということにも気づきました。
それよりもずっとずっとたくさんの感謝が、今、私の心の中にあることがわかったからです。
あの子に会えてよかったと、心から思いました。
そして、きっと昼間にしたクライエントさんとのセッションで、自分の中の何かが刺激されたんだろうなぁと、ぼんやり思いながら眠りにつきました。
クライエントさんとのセッションで、自分がこんなふうに影響を受けるというのは、なんだかとても面白くて、いつか仲間たちとこの体験についてシェアしてみたいと思っています。