「こうしたいな」「ああしたいな」と思うとき、頭の中でこんな声がすることはありませんか。
「また、わがまま言って」
「自分勝手なんだから」
「自己中なやつだって思われるよ」
我慢できることはいいこと。他人の手を煩わさないのがいいこと。
子どもの頃、多くの時間を過ごす家庭や学校には、そんな空気が流れています。
そのため、いつの間にか、こうした声が頭の中に棲みついている人も多いのではないかと思います。
私も例外ではありません。
こうした声が頭の中に響いて、「ああしたい」「こうしたい」と思うのが悪いことのように感じたり、わがままで恥ずかしいことのように感じてしまうことがあります。
身体が内側から、きゅうっと縮まっていくようなつらい感覚です。
でも、さまざまなカウンセリングの理論を学ぶ中で、こうした声を打ち消してくれる「魔法の言葉」を使えるようになりました。
ごく個人的なもので、みなさんにも役立ててもらえるものではないかもしれませんが、何かのヒントになればと思い、書いてみたいと思います。
私にとっての「魔法の言葉」。
それは、昔よく祖母が言ってくれた、「えい、えい、えいわね」という言葉です。
わがままだとたしなめられているとき、祖母がよく横から優しい声でこう言ってくれました。
その声のトーンまで、今でもはっきりと思い出せます。
それくらい、子どもの私はこの声に助けられていたのでしょう。
自分の心を守ってもらえる感じがしていたのだと思います。
今でも、自分勝手なのではないかと感じるときや、「こうしなければならない」「こうすべき」と周囲から期待されていることから外れてしまうそうな自分を感じるとき、この祖母の言葉を思い出すようにしています。
そうすると、締め付けられて縮こまりそうになっていた気持ちがふっと緩んで、のしかかるプレッシャーを肩から払い落とせるような気がするのです。
「わがまま」
「自己中」
と責めてくる声と戦うという選択肢もありますが、こうした魔法の言葉を響かせて、心をふわっと守ってあげるという方法もあります。
皆さんも記憶を辿っていくと、こうした魔法の言葉が見つかるかもしれません。
実際の人からもらった言葉だけではなく、小説や漫画、映画を通して出会った言葉でもかまいません。
みなさんお一人おひとりにとっての、大切な「魔法の言葉」をぜひ見つけてほしいと思います。