頭(思考)の時間と、心(感情)の時間。
私たちは、この2つの時間の中を生きているのだなとつくづく思います。
人間社会の時間と、自然の時間と言い換えてもいいかもしれません。
人生に行き詰まりや停滞感を感じるときは、この頭の時間に、心の時間が追いついていないことがほとんどです。
「そのままのスピードでいくと、事故になりかねないよ!」と心が一生懸命、ブレーキを踏もうとしているような感じです。
こういうとき、頭の時間と心の時間のバランスを取るためにぜひ、カウンセリングを利用してみてほしいと思います。
カウンセリングはいまだに「問題のある人が受けるもの」という漠然としたネガティブな印象を持たれていますが、私は車検や健康診断のような人生におけるメンテナンスの意味合いも、とても大きいと思っています。
進学、就職、結婚、引っ越し、転職、離婚、子どもの巣立ち、親の介護、看取り。
私たちの人生にはさまざまな変化があります。
あなたの人生に起きた変化を数えてみてください。
変化を乗り越えて、新しい生活に適応していく。
そんな体験を何度も繰り返していけば、そのとき十分に感じられなかった気持ちも、蓄積されていくものです。
小学生のときの引っ越しが嫌だった、悲しかったと言えなくて、どこか両親との心の距離を感じたまま、就職で家を出ることになってしまった。
受験や就職での挫折を体験しても、誰にも弱音を吐けず、劣等感を抱えたまま、日々を過ごしている。
親の看取った喪失感や寂しさ、育ててもらった感謝を十分に味あわないまま、夫のことも見送ることになってしまった。
そうした体験が積み重なっていくと、メンテナンスが必要になるのです。
人生100年と言われる時代になり、私たちが体験する変化の数はもっと増えていくかもしれません。
思い残していることはないかな。
溜め込んだままの気持ちはないかな。
誰かと分かち合いたかった気持ちを、どこかに置き去りにしてきていないかな。
頭の時間に追い立てられる生活では、ついつい忘れがちな気持ちのこと、心にかかった負荷、隅に追いやったままの感情。
カウンセリングの場では、心の時間を尊重します。
ゆったり流れる時間の中で、普段なかなか聴けずにいる心の時計の音に、耳を澄ましてみませんか。