「カウンセリングってどんなことをするんですか?」
という質問にはいつも簡潔に答えられず、つい話が長くなってしまいます。
カウンセリングの中で起こることは本当に十人十色で、なかなか十把一絡げにはできない感じがあるのです。
(単にそれが私のキャパを超えるというだけのことかもしれませんが)
ただ、カウンセリングをしていて感じるのは、人それぞれの人生があって、そこには命があって、生き方があって、価値観があって、選択があって、後悔や喜びがあって、それ自体にいつもすごく心を動かされるということです。
昔は連続ドラマをよく見ていたのですが、カウンセリングの仕事を始めて、あまりドラマを見なくなりました。
それはたぶん、クライエントさんから聞かせていただくお話が、もう私にとってドラマであり、カウンセリングの中で起こる体験もドラマティックだからです。
カウンセリングを通して体験していただけることの中で、私が好きな瞬間の一つは、「自分の中に感動ポイントが見つかる」瞬間です。
それは、人生のある一場面であったり、カウンセリング中に見つかることであったりします。
例えば、いじめられてつらかった過去の出来事を振り返る中で、それはご本人にとってはただただ惨めな記憶でしかなかったものでも、
「でもあのとき、僕は学校を1日も休まなかったんです。休むと親が心配するから。家に帰る前に、笑顔で帰れるように、河原の土手に座って気持ちを切り替えていました。まだ小さかったのに、あんなふうにして、つらいことに耐えようとしていた自分を今は誇りに思います」
とおっしゃってくださったり、
カウンセラーから「今そのつらい体験について話してくださっていること自体が、勇気のある、素晴らしいことだと思います」と言われて、
「誰かを頼るのは恥ずかしいことだと思っていました。でも今、勇気と言ってもらって…確かに自分でも新しいことにチャレンジしたという自覚があります」
とおっしゃってくださることがあります。
そんなとき、私もクライエントさんも胸がジーンとして、じわっと目に涙がこみ上げてくる感じがあります。
ここに挙げた例は、皆さんが想像したような大きな感動ポイントではないかもしれません。
でも、逆に言えば、こうした「小さな感動」は日々起こっているのではないかと思うのです。
こういう瞬間に立ち会ったとき、私は生まれたての赤ちゃんの小さな手足を見るような感動を味わっています。
まさに、その人の自分に対する新しい見方、その人の中にすでにあったリソースへの気づきが生まれた瞬間に立ち会っているような気持ちになるからかもしれません。