以前、心を守るもの=防衛(この記事では「マント」のことです)について、こちらに書きました。
でも、昨今のSNSの殺伐とした雰囲気などを見ていると、カウンセリングの場ではともかく、日常生活の中でマントを脱ぎっぱなしで生きていくのは、相当タフな心や、周りの人たちとの強いつながりがないと難しいなと思うことも多いです。
先日、私自身がある場面で、この「マントを脱ぐか、着たままにするか」という体験に直面しました。
相手のことはものすごく信用していたので、「もっと心を開いて、相手としっかりつながりたいな」という気持ち(マントを脱ぐ)と、「自分の話をすることが、この場で適切なんだろうか」「こんなことに時間を使っていいのかな」「このまま自分の気持ちを感じていたら、涙が出てきてしまうかもしれない」と、その体験にとどまるのをためらう気持ち(マントを着たままにする)の両方が、自分の心の中でせめぎ合うのを感じました。
それは言ってみれば、心のチャックを上げ下げするような感覚でした。
以前の記事では、マントを着続けるか・マントを脱ぐかの前に、「マントの着心地について話す」というステップを踏むことの大切さを書きました。
今回は、そのマント(防衛=心を守るもの)にチャックをつけました。
いつでも閉められるように、チャックを開けたまま着ていてもいい。
チャックの上げ下げは、いつでも自分でコントロールできる。
そういう感覚を、クライエントさんに感じていただけることも、とても大切だと思います。
そして、日常生活の中でも「今はチャックを開けても大丈夫な場所だな」という空間もあれば、「今はちょっと閉めておこうかな」という場面もあるはずです。
そんな違いを感じながら生きていくこともまた、「自分を大切にしている」ということなのだと思います。