Talk to Your Heart

〜自由が丘カウンセリングオフィスのblog〜

ヒトと動物の怒りの働き

怒りというのは、人間にとって大切な感情です。

生まれたときから持っており、身体の反応とも結びついた感情であるため、基本感情の一つとされています。

怒りの役割は、「大切なものを守るために戦う」ことだとされています。

自分自身の命、安全感、所有物や財産、社会的地位、価値観、権利や尊厳、大切にしている身近な人たち。

これらを守るために「怒り」があります。

親猫が子猫に近づく人間を威嚇する、あの怒りをイメージしてもらえるとわかりやすいかもしれません。

この怒りは爆発することなく、しっかりとその人の意識でコントロールされているのも特徴です。

一方、動物心理学の本を読んでいると、人間の怒りとはまた違った怒りの役割が書かれていました。

それは、怒りが「動きを抑制されたときに働く」というものです。

自分で食べ物を取りに行かなくてはならない動物は、動けないことが死に直結します。

ここでもやはり、怒りによって命を守っているのだと思うのですが、人間の感情理論の中にはあまり出てこない記述だったので、興味深く感じました。

保護犬などを買うときも、仰向けにした状態で軽く抑えたときに、あまり動じなければおっとりした性格、怒りをむき出しにするようなら敏感で警戒心の強い性格と判断できるそうです。

しかし、人間も動物です。

動きを抑制されると怒りが湧くというのは、あながちヒトごとではないように思います。

スーパーのレジが混んでいてなかなか進まない。

渋滞にはまってしまう。

電車や飛行機の遅延で足止めを食う。

こういうとき、私たちの脳を調べてみたら、他の動物と同じ部位が活性化しているのではないかと思います。

そんなとき、まずは心の中でこうつぶやいてみると、気持ちがすっと落ち着くかもしれません。

「動きを止められて、自分は今、怒りを感じている」

私たちには、動物が持っていない言葉があります。

言葉は状態を客観的に見せてくれます。自分の動物としての側面に触れて、ちょっと面白い気持ちになれるのではないでしょうか。

「そんなことでイライラしちゃダメ」と無理に気持ちを抑えることなく、

「だって動物だもんね」と、笑い飛ばせるかもしれません。