先日、こんなツイートをしました。
この記事で紹介されているお母さんの、子どもの感情への対応がとても素敵だったのです。
このお母さんすごいなぁ。
— shiho📜こころが元気になる場所 (@emotion_lab) 2020年2月13日
「子どもの気持ちに寄り添うというのは、泣いている理由を聞き出すことではなく、安心して泣かせてあげること」
だから、娘さんも気持ちをちゃんと言葉にできるんだ。
帰宅したら腕が赤い… 保育士にされたことを訴える娘の涙 – grape [グレイプ] https://t.co/l00CPFgYPy
主人公は、4歳の娘さんを持つお母さん。
娘がどうも保育園でつらい目に遭っているようなのだけれど、なかなか事情がわからない。お母さんは心配で心配で、やきもきします。
大人は、この「わからない」状態に耐えることが苦手です。
・どんなことにも理屈や理由がある
・それは言葉できちんと説明できる
・ちゃんと説明しないと、人には伝わらない
そうした「頭(思考)の都合」を優先させるようになるからです。
でも、このお母さんは、お子さんが泣いているときに、次のことに気をつけていました。
・泣いているときに、その理由を問い詰めない
・「泣いていてもわからない!」と叱り、説明を求めない
・泣いている間は、泣き止むまで待つ
・「ずっと待っているから、安心して泣きなさい」と抱きしめる
これはまさしく、健康な愛着形成において、とても大切な dyadic regulation(ふたりで行う感情調整) だと思いました。
子どもがこの世に生まれ落ちてから、学んでいくことはたくさんありますが、その一つに、「感情調整」があります。
感情調整とは、自分の感情を適切になだめ、落ち着かせ、整えることです。
子どもにとって、感情とは、自分の心を飲み込まんばかりに押し寄せてくる大波のようなものです。
感情の波には、始まりがあり、ピークがあり、終わりがあるため、大人がそばについてあげて、この波が終わるのを一緒に待ってくれると、子どもは次のようなことを学習できます。
・感情にはちゃんと終わりがあるから、怖がらなくていい。
・感情が起こってきても、無理に押しとどめなくていい。
・感情の終わりまで待てば、よくわからなかった気持ちがだんだん言葉になっていく。
私たちの頭と心は、それぞれの時間、それぞれの理由を持っています。
心の時間は、頭の時間に比べてずっとゆっくりで、マイペースです。
心の理由は、頭の理由ほど理路整然とはしていませんが、人の心を動かす力はこちらの方がずっと強いでしょう。
頭の時間と、心の時間。頭の理由と、心の理由。
この2つは、常にぴったり重なって動いてはいません。
特に、感情の始まりからピークの当たりなんて、この2つの動きはバラバラです。
でも、感情のピークが過ぎ、波が終わりに近づいてくるにつれ、少しずつ、心の理由が頭の理由に歩み寄っていきます。
時計の長針と短針が重なるように、心の時間と頭の時間が重なります。
頭の都合や頭の時間だけで動いているわけではないのは、子どもだけではなく、大人も同じです。
気持ちが思うように言葉にならず、歯がゆいとき。
感情が溢れてしまって、情けないと自分を攻めてしまうそうなとき。
この2つの時間と理由のなかで、私たちが生きていることを、そっと思い出してみてください。
その2つの調和が取れたとき、気持ちはちゃんと言葉になります。
溢れた感情を説明する言葉が見つかります。
大切なのは、それを信じて待つことなのです。