自分にとって大切なものを失ったとき、私たちは悲しみに暮れます。
喪失とは、とても大きな体験です。
愛する人を亡くしたときには、自分の身体の一部をもがれるような思いがします。
生きがいとしていた仕事を失うことも、未来にも過去にも渡って、自分の人生を支える軸が消えてしまうような、心許なさを伴います。
突然襲いかかる喪失の体験は、私たちから現実感を奪ってしまうこともあります。
そんなとき、悲しみによって、人は自分の体を休め、癒す必要があることを教えられます。また、悲しみを他者に示すことによって、適切な援助や慰めを得ることもできます。
強い悲しみに耐えられる人はなかなかいません。
しかし、目の前に同じ悲しみを抱えたひとがいるとき、私たちは不思議と、互いに慰め合うことができます。感情は、個人にとっても、対人関係においても、大切な役割を果たしているのです。
喪失の悲しみは、十分に悲しむことによって癒されます。
悲しむことを、情けないとか、みっともないとか思う必要はないのです。
悲しみの深さは、愛の深さに比例します。
大きな悲しみがあるとき、それだけ大きな愛を、その対象に注いできた自分のことを思い返してみるのもよいかもしれません。
あなたは、それだけの愛を持った、愛に溢れた存在なのです。

- 作者: フランソワーズサガン,Francoise Sagan,朝吹登水子
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