Talk to Your Heart

〜自由が丘カウンセリングオフィスのblog〜

カウンセリングですること:感情についたラベルを貼り直す

私たちが生きていく上で、個人の感情と、大切な人との関係のどちらを優先しているかというと、後者のほうです。

私たちは、特に子どもの頃には、自分を守り、身の回りの世話をしてくれる大人がいないと、生きていくことができません。

そのため、自分の感情を犠牲にしてでも、大切な人との関係を守ろうとします。

この傾向は、大人になってもさほど変わりません。

なぜなら、身の回りの世話を自分でできるようになっても、大人になった私たちにとって、他者とのつながりは安全基地であり、自分が存在する理由を与えてくれるものになるからです。

誰かのパートナーであり、きょうだいであり、親であること。

組織の一員であること。

地域での役割を持ち、何らかのコミュニティーに所属していること。

人とのつながりの中に、私たちは自分の居場所を見出そうとします。

そのため、他者から歓迎されない感情に、私たちは「よくないもの」「表してはダメなもの」「関係を壊す悪いもの」というラベルを貼って、心の奥深くに押し込めてしまいます。

特に、虐待や搾取、ハラスメントが起きているような関係の中では、私たちは感情に誤ったラベルを貼り付けて、それを感じないように・表さないようにします。

境界線を引くために必要な怒りも「出してはいけないもの」。

傷ついて、助けやケアが必要な悲しみも「感じてはいけないもの」。

自分にとって有害なものを身体に入れないために必要な嫌悪も「関係を壊す悪いもの」になってしまうのです。

間違っていたのは、感情ではなく、関係のあり方なのだと知り、感情に正しいラベルを貼っていくことが大切です。

カウンセリングでは、誤ったラベルを貼られて、厄介者扱いされていた感情の「ラベルの貼り直し作業」をやっていきます。

この段階では、カウンセラーによる説明も多くなるかもしれません。

なぜなら、クライエントさんの中の感情に関する知識をリニューアル、もしくはアップデートしてもらう必要があるからです。

感情は本来、自分にとって大切なことや自分が取りうる方向性を示してくれる、生きるための指針、人生のコンパスなのです。