今年の春から、私たちは今までに体験したことのない、「あいまいな喪失によるストレス」を体験し続けています。
職場や学校でのちょっとした雑談、通勤電車内での一人の時間、職場から家に帰る前にふらっと立ち寄ったカフェやバーでの一服など、あまりにも何気なくて、はっきりと失ったと認識することが難しいような、でもとても大切だった時間が、私たちの生活から消えてしまったのです。
あいまいな喪失から来るストレスは、SNS上の殺伐とした雰囲気や、感染者や感染者を出した機関への誹謗中傷、自粛警察と呼ばれる行き過ぎた監視の目などに、影響を及ぼしていると考えられます。
第3波の訪れをひしひしと感じる今だからこそ、一人ひとりが、自分に起こったあいまいな喪失と、そこから生まれているストレスに目を向け、他者を攻撃するのではなく、自分や周囲の人たちのストレス・ケアに意識を向けていく必要があります。
コロナ禍では、誰もが当事者であり、誰もが不安や恐れを抱き、傷ついています。
経済への打撃も大きく、10月の自殺者は2,000人を超えました。
医療従事者の方々をはじめとした、エッセンシャル・ワーカーの皆さんのご負担は、想像を絶するものがあります。
ただ、個々の苦しみを知ることは大切ですが(知ることで寄り添えるからです)、それらを比較することに、あまり意味はありません。
みんなそれぞれの苦しみや痛みを抱えているからです。
この時期に家族を亡くした方であれば、亡くなる前に十分な面会ができなかったり、お葬式を簡素化せざるを得ないという苦しみがありました。
この時期に就活をした人たちの中は、志望先の企業が新入社員の募集をやめて、別の道を選ばざるを得なかった人たちもいます。
在宅ワークや旅行にも行けない状況に置かれて、家庭内で以前より喧嘩が増えたことを悲しく思っている人もいるはずです。
こんなときだからこそ、自分の傷つきにも、誰かの傷つきにも気づく目を持って、ストレスをケアする心の余裕と優しさを持ちたいと思います。
「感染症と闘う医療従事者の話を聴く会」にボランティアスタッフとして参加しています。
医療介護職の方に限定したサービスですが、無料で利用できます。
よろしければ、ぜひご活用ください。
careforcovidfighte.wixsite.com
活動を紹介する朝日新聞の記事はこちらです。