2つ前の記事で、恥(shame)について書きましたが、相手をコントロールしようとしてその相手に恥を植えつける行為をシェイミング(shaming)と言います。
例えば、部下に対する「お前の変わりなんていくらでもいる」「誰のおかげでこの仕事が取れたと思っているんだ」などという上司の発言はshamingの典型例です。
これは、相手に自分の言うことを聞かせるために、相手を無力化し貶める効果を持ちます。こうした言葉を発した本人が、必ずしもそれを自覚できていないというのも、このshamingの恐ろしいところです。
「そんなつもりはなかった」と言い訳ができてしまうのです。
恥を植えつける行為は、しつけや教育、トレーニングの中にも自然に使われているので、私たちはその影響をあまり自覚することがないかもしれません。
でも、こうした言葉は、向けられた相手の自己価値を揺さぶります。家族や友人、信頼できる同僚など、周りに十分なサポートがなかったら、相手の心を壊してしまうほどの破壊力を持つものです。
こうした言葉から、自分の心を守るためにも、shamingという行為があることを知っていただけたらと思います。
shamingを行う人自身が、劣等感や自信のなさの塊であることも多いのです。
自信や実力のない人ほど、このような形で相手をコントロールしようとします。
そうするしか、相手に言うことを聞かせる方法がないからです。
そして、大抵は的外れであることが多いのです。実力のある人、誠実に仕事に取り組んでいる人にも、こうした言葉は向けられます。
ぜひ、信頼できる人には「今日こんなことを言われてしまった」と打ち明けて見てください。
恥は、沈黙の中で培養されます。黙っていると、本来的外れな評価が、どんどんあなたの価値を蝕んでしまいます。
信頼できる人に話して、思いっきり否定してもらいましょう。
自分を守り、成長させていくためには、聞く価値のある批判と、聞くに値しない単なるshamingを、しっかりと分けていくことはとても大切だと思います。