感情には、大きく分けて二つの種類があります。
不安や恐怖、悲しみ、怒り、恥、罪悪感といったネガティブ感情と、安心感、喜び、好奇心、達成感、愛、思いやり、感謝といったポジティブ感情です。
ネガティブ感情は、長くかつ強く私たちの注意を引きつける性質があります。
不安なプレゼンが控えていたり、怖い上司が近くにいるとき、その対象から意識をそらすのは危険だからです。
なので、その脅威が去るまで、これらの感情は私たちの心の中に留まります。
一方、ポジティブ感情は、ネガティブ感情ほど長く続かない分、たくさん感じる必要があるとされています。
ネガティブ感情とポジティブ感情の黄金比は、1:3。
(最近の研究では、1:5〜7とまで言われるようになりました。)
つまり、心の健康を保つには、1日の中で感じたポジティブ感情を、意識的に「広げて作る」ことが大切です。
よく、寝る前によかったことや感謝したいことを書いて眠るといいとも言われますが、こうした作業も、要するに、ポジティブ感情を「広げて作っている」わけです。
簡単なワークをやってみましょう。
今日1日、ポジティブな感情を感じた場面を思い浮かべてみましょう。
子どもが笑顔で「行ってらっしゃい」と送り出してくれた場面。
プレゼンを終えて、ホッと肩の力が抜けた場面。
職場の同僚や先輩の配慮に助けられた場面。
コンビニの店員さんの笑顔に癒された場面。
青空を見上げて、ふぅーっと深呼吸した場面。
楽しみなイベントに参加して、その始まりをワクワクしながら待っていた場面。
思い出したら、そのときの身体の感じや気持ちの状態を、今の心と身体に呼び込んでみます。
そして、しばらくその感覚に留まりましょう。
留まるのが難しい人は、その気持ちや感覚のイメージを作るのもいいかもしれません。
その「ホッとした感じ」は、どんな色で、どんな形をして、どんな大きさで、あなたの身体のどの辺りにありますか。
「子どもの笑顔」を思い出すと、身体はどんな感じになりますか。あたたかさを感じ始めたなら、そのあたたかさは、どんな色で、どんな大きさで、どんな形で、あなたの体のどの辺りにあるでしょうか。
帰りの電車で座る時間があったら、あるいは、寝る前のほんの数分でもかまいません。
あなたが1日の中で体験した、ポジティブ感情にぜひこうして注意を向けて上げてください。
「嫌なこともあったけど、こんないいこともあったな」
「そんなに悪い1日でもなかった」
「またこんな感覚が得られるように、明日も頑張ろう」
「明日もいい日になりますように」
そんな言葉とともに、ポジティブな感情に包まれながら、今日という日を終えていただければ幸いです。
満員電車にすし詰め状態で駅まで運ばれ、人の波をかわしながら職場に着く。
仕事に追われて、あっという間に1日が終わってしまった。
そんな忙しい生活をしている方にこそ、読んでいただきたい記事です。