パートナーとよい関係を保ち続けるために必要なことは、何でしょうか。
それは多くの人が知りたい・実践したいと望む一方で、仕事や家事、育児の忙しさにかまけて、最もおろそかになりやすいものかもしれません。
ある研究では、相手の感情を読み取り、共感的にかかわるパートナーを得ている人ほど、夫婦関係の満足度が高いという、ある意味とても真っ当な結果が出ています。
以下は、その研究のPDFへのリンクです。
http://www.apa.org/pubs/journals/releases/fam-26-2-236.pdf
しかし、“どの感情に共感するか”という点において、男女間には違いが見られます。
女性は、ポジティブ感情よりもネガティブ感情への理解と共感を、パートナーに求める傾向が強いのですが、一方で、男性はどうかというと、愛する女性が幸せそうにしていると彼らも幸せで、夫婦関係に対する満足度も高いのですが、パートナーが怒っていたり、苛立っていたりとネガティブな感情状態にあるときには、満足度が低下するというよりシンプルなパターンを示すのです。
つまり、女性はネガティブな感情も分かち合い、理解を示してもらいたいと思う反面、男性はそうした状況に恐れや不安を抱きやすいと言えます。
これは、多くの恋人や夫婦によく見られ、そしてなかなか埋めることのできない男女間のギャップのひとつです。
以前、ストレス状況下では女性のほうが共感的になるという記事をご紹介しましたが、ネガティブ感情は女性にとってはつながりを深める手段となりうる一方で、男性にとっては相手と距離をとったり、自分の殻に閉じこもる必要を感じさせる警告音の役割を果たします。
今回の記事の元になった研究からも、相手が、自分とネガティブな感情を分かち合ってくれると、女性はつながりを感じ、相手の男性が自分に心を開いてくれていると思うため、コミュニケーションがとれているという実感を持つことが明らかになっています。
しかし男性は、パートナーのネガティブ感情を、“ふたりの関係を脅かす脅威”とみなします。天候に例えるなら、嵐のようなものでしょうか。男性は、嵐の中に飛び込むよりも、嵐が過ぎ去って、パートナーに太陽のような笑顔が戻るまで、暴風雨をしのげる場所でじっと待とうとするのです。
TIMEの記事は、男性に対して女性のネガティブ感情を恐れずに、女性の声に耳を傾けましょうと語りかけています。でも、男性としては「それができたら苦労はしない!」と反論したくなるのではないでしょうか。
女性が持つ、ネガティブ感情を分かち合い、共感してほしいという欲求。
男性が持つ、ネガティブ感情への恐れ。
これは、一見すると決して相容れない、別々の方向を向いたベクトルの上にあるように思われるかもしれません。
しかし、その根っこは、“ふたりの関係を大切にしたい”という思いで、つながっているのです。
女性が、ネガティブな感情をパートナーと分かち合いたいのは、それによってふたりの絆を強めたり、確認したりすることができると感じているからです。
そして、男性が、パートナーのネガティブ感情がおさまるまでそっとしておきたいのも、また、ふたりの関係を壊さないように守りたいと思っているからなのです。
つまり、やり方こそ違えど、ふたりは同じものを守ろうとしているのです。
男女の関係は、ややこしいけれど,愛しいものですね。
愛とは、見つめ合うことではなく、同じ方向を見ることである。