心には、少なくとも3つの感情が住んでいる。
そう聞くと、どんな気持ちになるでしょうか。
「1つの感情に対処するだけでも大変なのに」
と、頭を抱える人もいるかもしれません。
「それってどういうこと?」
と、ワクワクする人もいるでしょう。
AEDP(加速化体験力動療法)という心理療法では、三角形を心の地図に見立てて、3つの角にそれぞれ固有の感情を置いていきます。
ぜひ、三角形を思い浮かべながら、この先を読み進めてみてください。
まず、左上の角にあるのは、①防衛的な感情です。
次に、右上の角にあるのは、②赤信号感情。
そして最後の下の角には、③コア感情があります。コア感情とは、本当に感じたい感情のことです。
例えば、今日はバレンタイン・デーですが、こんな日にはきっと多くの人が、特別な人への愛情を感じるはずです。
しかし、自分が好きな人にはすでに付き合っている人がいて、気持ちを伝えることができない場合もあるでしょう。
そんな状況だと、③のコア感情のところにある愛情と、その愛情を受け入れてもらえないという悲しみが同時に押し寄せてきます。
愛情と悲しみがセットになるため、それを感じるのは②つらいという赤信号感情が湧いてきます。赤信号感情とは、「③の愛情を感じるとつらくなるよ、だから感じないほうがいいよ」と、私たちの心を守る役割をしている感情です。
ただし、この②つらいという赤信号感情も感じているとしんどいため、私たちはこの感情を別の感情で隠してしまうことがあります。
例えば、なんとなくイライラするとか、なんとなく気持ちが塞ぐといった具合です。
こんなふうに、自分の感情を隠すために表面に現れる感情を、①防衛的な感情と呼びます。
三角形の下の角(③)から、右上の角(②)、そして左上の角(①)に到達しました。
これが私たちの心の地図であり、心のカラクリです。
カウンセリングでは、この地図を逆の方向へ向かえるようにサポートします。
つまり、①防衛的な感情(右上)と②赤信号感情(左上)を乗り越えて、③愛情と悲しみ(下)を感じられるようにするのです。
3つの感情を知れば、自分が今、心の地図のどこにいるかがわかり、次にどこを目指せばいいかがわかってきます。
ちょっと専門的な内容になってしまいましたが、身近なのに知らない感情の世界を、少しでも興味深く感じていただければ幸いです。