カウンセリング中には、たくさんのクライエントさんの感情に出会います。
怒り、悲しみ、傷つき、苦しみ、人を信じられないという気持ち、相手とつながることへの恐怖。
感謝、優しさ、愛情、誠実さ、人をもう一度信じたいという気持ち。相手とつながりたいという想い。
「後者は、前者がすべて癒されて初めて現れる」というイメージが一般的かもしれませんが、実はこれは誤りです。
怒りや悲しみ、人への恐怖心、世の中に対する絶望などのネガティブ感情が、心を覆う闇だとしたら、そこには感謝や愛情、もう一度人を信じたいと思う気持ち、心の底からの笑顔といったポジティブ感情は、星の光のように小さく、けれど確かに瞬いているのです。
この瞬きを、私が学んでいる心理療法では、glimmer(きらめき)やtransformance(変容の兆し)と表現します。
そして、カウンセラーの役割はこのglimmerを見逃さないこと、transformanceの探偵であることと言われます。
ポジティブ感情はネガティブ感情が癒されてから現れるのではない。
ポジティブ感情はネガティブ感情と独立して、かつ同時に存在している。
なので、「性被害にあった人が笑えるはずがない」という認識は誤りです。
人の心は、とっぷりと闇に覆われても、決して真っ暗になることはありません。
小さな光でも、人の心はそれを守り続けるようにできているのです。
人をもう一度信じようとする勇気。
感情の作業をやりきったという達成感。
カウンセラーとつながったと思えたときの安堵の微笑み。
「いろんな人に支えられて、今がある」と言って見せてくれる笑顔。
そんなglimmerに、今年もたくさん出会いたい。
2020年4月、いよいよ東京は自由が丘に、カウンセリングオフィスを開設いたします。
地方在住の方向けのオンライン・カウンセリングも行ってまいります。
どうぞ本年もよろしくお願いいたします。