Talk to Your Heart

〜自由が丘カウンセリングオフィスのblog〜

怒りよりも悲しみよりも厄介な感情:恥という呪い

人を痛めつける感情の一つに、恥がある。

いじめや性被害、パワハラに遭った人たちの多くが、この感情に苦しめられている。

自分のことが「恥ずかしい」と思うとき、人は小さくなり、背中を丸め、顔を隠して、自分の存在を消してしまいたいと願う。

ユングが、恥を「soul eater」と言ったように、恥はその人の魂を内側から蝕んでいく。

その痛みは相当なものであるにもかかわらず、恥に苦しむ人は、「そんなことで悩んでいるのはお前だけだ」と拒絶される恐怖や、「そうなったのはあなたにも責任があるんじゃない」という批判から逃れるため、口を閉ざし、心を閉ざし、孤立していく。

助けになるはずの「つながり」を自ら拒んでしまうのだ。

 

心の内側はすでにボロボロだから、行動を起こすことよりも、自分を守ることが優先されるのは当然のことだ。

でも、こうした恥は毒のようなものなので、全身に回って自分に対する見方がゆがんでしまう前に、身体の外に出してしまいたい。

そのためにも、毒を吸い出してくれる「誰か」の力を借りて欲しい。

信頼できる誰かから、「恥ずべきはあなたではなく、あなたを傷つけた人たちだ」とはっきり言ってもらうことが必要だ。

恥は毒のようなものでもあるし、あなたに取り付いた悪霊や呪いのようなものでもある。

悪霊を祓い、呪いを解くには、祈祷や霊媒師の力を借りる必要がある。カウンセラーを頼るのも、それと同じだと思ってもらえばいい。

恥に苦しんでいる人には、毒を吸い出す人、悪霊を祓う人、呪いを解く人にぜひ出会ってもらいたい。

その人は、あなたに対する確固たる信頼と思いやり、それから相手に対する怒りで、あなたを守ってくれるはずだ。

 

 

カウンセラーとして、恥の毒が身体にすっかり回り、心の一部を壊死させたまま、なんとか生きてきた人たちに、たくさん会ってきた。

その姿は本当に痛々しい。

けれど、それでも生き抜いてきたその人に敬意を覚えずにはいられない。

その人たちの痛みを、こうして言葉にして伝え、「私の身体にも毒が回っているかもしれない」と気づいてもらうことは、私の仕事の一つだと思っている。