例えば、街灯の明かりも心許ない、真っ暗な夜道を歩かないといけないとき。
私たちは、歌を歌ってみたり、いつもよりも早足で歩いてみたりします。
このとき、私たちの心には、暗闇を恐れる気持ちがあります。
でも同時に、歌を歌って声を出したり、いつもより早く歩こうとしたりして、自分を鼓舞しています。恐怖に負けないように、自分を奮い立たせる気持ちがあるのです。
こんなふうに、ネガティヴな感情とポジティヴな感情は、時に表裏一体です。
ネガティヴな感情の裏に、ポジティヴな感情が隠れていて、ネガティヴな感情を乗り越えようとするのです。
ネガティヴな感情に負けそうなとき、自分の身体にそっと意識を向けてみてください。
もしかすると、唇を噛みしめているかもしれません。手をぎゅっと握っているかもしれません。時には、頭をフル回転させて、事態に対処しようとしている自分に気づく場合もあるかもしれません。
そこにあるのは、どんな形であれ、微力ながら自分を奮い立たせようとするあなた自身です。
ひとりじゃないよ、負けないで。
つらいね、でもきっと大丈夫。
と、声なき声で伝えてくれる、誰よりも心強い味方が、そこにいるのです。
脳科学者の茂木健一郎氏も、その著書の中で感情について触れています。
「脳科学では、感情は生きる上で避けられない不確実性に対する適応戦略として進化してきた」
「脳の働きの自然史の中で、感情は無視できない地位を占める」
などの記述から、感情擁護派ではないかな、とお見受けします。尾崎豊ファンという点も同じで、なんとなく親近感の湧くお方です。