統合、というのは、北米を中心に発展する心理療法のテーマです。
前回ご紹介したホ・オポノポノでも、潜在意識と顕在意識、超意識の統合が大切とされている感じがします。
- 作者: 平良アイリーン,イハレアカラ・ヒューレン
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2013/03/01
- メディア: 単行本
- 購入: 177人 クリック: 2,592回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
また、弁証法的行動療法と呼ばれる心理療法では、wise brain(賢明な脳)とは、emotional brain(感情的な脳)と、rational brain(理性的な脳)のバランスがほどよく統合された脳のことを言います。
弁証法的行動療法実践マニュアル―境界性パーソナリティ障害への新しいアプローチ
- 作者: マーシャ・M.リネハン,小野和哉
- 出版社/メーカー: 金剛出版
- 発売日: 2007/09/12
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 11回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
このように、感情や欲求は、理性によって統制されなくてはいけないという考えではなく、両者のバランスをとることや、両者を統合することが大切なのです。
この統合は妥協とは違います。
より弁証法的な感じで、2つのものが合わさって、新しくより建設的なものが生まれるというイメージです。
しかし、日本人にとって、この考えは、頭ではわかっても、体験としてはなじみにくいもののようです。
日本人は、統合よりも、裏と表、本音と建前、内と外、ハレとケ、という二面性の文化や風俗の中に生きてきた民族なので、ひとつになることよりも、わけておくことに、生きやすさを覚えている可能性があります。
何しろ、神社のような神聖とされる場所でさえ、昼の顔と夜の顔があるほどなのです。
私たちが、個人や家族としてだけでなく、民族として祖先から脈々と受け継いできた遺伝子のなかには、もしかすると、感情と欲求を理性と分ける知恵は備わっていても、それらを統合するための知恵は、備わっていないのかもしれません。
あるいは、わけておくことによってこそ、全体としての統合が保たれていたのかもしれません。
水と油のように、感情と理性は混じり合わないままがよいのでしょうか。
その境界にはどんな意味があるのでしょうか。
果たして、現在もこの境界は機能しているのでしょうか。
戦後、この境界が揺らぎ、その代わりとなるものを見つけられないまま、価値観の混迷が続いているのではないでしょうか。
日本人にとっての統合とは何か。
海外における臨床や哲学の知恵を本当の意味で活かすために、どうしても無視できないテーマです。