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感情は人生の羅針盤

統合失調症にも心理療法は有効か

先日、うつ病の治療や自殺の防止に、カウンセリングの効果が認められるという記事をご紹介しました。

emotion-lab.hatenablog.com

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今回は、統合失調症の患者さんにも、薬物療法とカウンセリング(talk therapy)の併用が、最も有効であるという研究を紹介いたします。 

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こちらはアメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)が資金提供を行った研究で、NY Timesでも紹介され、統合失調症治療の新しいアプローチとして注目を集めています。

従来の統合失調症の治療と言えば、薬物治療が中心でした。

しかし、この病気の代表的な症状である妄想や幻聴に対して、薬物療法認知行動療法を併用すると、慢性期の患者さんにも急性期の患者さんにも、一定の効果が見られたという研究がすでに1990年代に報告されています。

こうした試みが生まれる背景には、統合失調症の治療薬による副作用が挙げられるでしょう。

どんな薬にも副作用はあるのですが、中でも統合失調症の治療薬には、大幅な体重増加や強い眠気、振顫と言われる身体の震え、感情がなくなってしまったような感覚など、深刻な副作用が多く、アメリカではこれらの副作用のために、1年半で3分の1の方が薬の服用をやめてしまうそうです。

カウンセリング(talk therapy)はメンタルヘルスの問題への初期段階での治療的介入として、近年アメリカで人気を集めつつあり、特に薬物療法との併用による効果が期待されています。この記事の最後にも、「カウンセリングは、統合失調症の患者さんとご家族の役に立つでしょう」と請け負う専門家の言葉も紹介されています。

ただし実際は、この研究で統制群(薬物治療のみの群)と比較したのは、カウンセリングを含む3つの社会的サポート(カウンセリング・学校生活のアシスタント・家族間での話し合い)を組み合わせた介入と薬物療法を組み合わせたものでした。

カウンセリングだけではなく、家族や社会の理解やサポートも、患者さんにとって大きな意義を持つものであることも、同時に示唆する研究結果だと言えるでしょう。