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emotion laboratory

感情は人生の羅針盤

感情ヒートマップを読む その②

今回は、感情ヒートマップに関する論文のresult、つまり結果に当たる部分を見ていきます。全部で、5つの実験が行われています。

まず、1つめでは、実験参加者に、6つの原初的な感情と7つのより複雑な感情、そして感情を感じていないニュートラル状態の合計14の感情状態に付随する身体感覚について報告してもらっています。その結果がこちらの14のシルエットに示されているのです。

上の6つが、原初的感情。下の7つがより複雑な感情です。

あなたの心はどこから来るのか?「感情ヒートマップ」生物医学研究が明らかにした、幸福・絶望・愛・怒りの源泉 | DDN JAPAN

また、この実験1は言葉を手掛かりとした感情と身体反応の喚起で、実験2・実験3・実験4ではそれぞれ、物語の読み聞かせ(story telling)、映像(movie)、表情(face)といったより感情を喚起しやすい手がかりでも、同一の身体反応が得られるか、感情ヒートマップが有効なのかどうかを調べています。

実験1では、クラスター分析(得られた情報をグループ分けするための分析)によって、感情がいくつかのグループに分けられました。

ひとつは、ポジティブ感情(幸福感、愛、誇り)のグループです。ネガティブ感情は、次の4つに分けられました。怒りと恐怖のグループ、不安と恥のグループ、悲しみと抑うつのグループ、嫌悪と軽蔑と羨望のグループです。驚きは、ポジティブ感情にもネガティブ感情にも分類されませんでした。

個人的に興味深かったのは、言葉・物語の読み聞かせ・映像・表情の4つの手掛かり別のクラスター分析の結果です。

悲しみ、嫌悪、恐怖の3つの感情状態は、実験1のクラスター分析の結果と一致しましたが、怒りと幸福感と驚きでは、実験1とは異なる結果が出たのです。

例えば怒りでは、言葉と表情によって喚起された怒りの身体感覚は恐怖に近く、映像によって喚起された怒りは、身体感覚としては嫌悪に近かったのです。

これは、刺激(手掛かり)が自分に向いているか、不特定多数に向いているかによって、歓喜される怒りの性質が異なるためかもしれません。

言葉や表情はより個人的な手掛かりなので、逃げるか戦うかにかかわる怒りと恐怖が喚起されます。一方、映像はもっと間接的な刺激なので、このときに沸き起こる怒りは、前者の怒りとは違う性質のものになるのでしょう。

わかりやすく言えば、自分に向かって眉をひそめられるのと、ある人が誰かに向かって眉をひそめるのを見たときとの違いと言えると思います。

感情研究といえば、脳科学との関係が深かったのですが、こんなふうに身体との関連が科学的に明らかにされていくのは、とても楽しみな感じがします。

次回は、考察へと続きます。