希望(hope)は、光に例えられることも多いですが、うつ病の苦しみのひとつに、寄る辺なさ(hopelessness)の感覚があります。
希望が光であるというのは、あくまでも比喩ですが、こちらの記事では、季節性のものではないうつ病にも、物理的な光が有効であるという研究が紹介されています。
季節性のうつ病には、いわゆる冬季うつと呼ばれる、日照時間の短くなる冬の時期だけ、うつ病の症状が出るものがあります。
日照時間が短い地域ほど、自殺率が高いことが知られています。単に人間関係や職業上のストレスに気を配るだけでなく、しっかりと太陽の光を浴びるといった、生物として自然なあり方によって、心の健康が支えられていることに、私たちはもっと意識を向けるべきかもしれません。
さて、こうした理由から、季節性のうつ病に治療に、光療法(light therapy)が用いられていたわけなのですが、光を当てて概日リズム(体内時計)を整えることは、季節性でないうつ病にも効果があることがわかりました。
研究者らは、非季節性うつ病の患者を3つのグループに分け、それぞれに下記の3つの治療を行ないました。
1. 光療法とプラセボの錠剤
3. 光療法と抗うつ薬
結果は、3と1に、2よりも高い治療の効果が見られたということです。
記事は、まだ同様の観点からの研究を積み重ねる必要はあるけれども、投薬以外の治療の選択肢を示すものとして、価値ある結果ではないかと締めくくられています。
薬の服用に抵抗のある方を説得して、お薬を勧めるという方法ではなく、他の治療法も提供できるよう、こうした研究の結果が活用されていくことは、治療者にとっても患者さんにとっても、意義のあることに思われます。