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〜自由が丘カウンセリングオフィスのblog〜

ストレスへの対処に見る性差

男女の脳の構造の違いについては、さまざまな書籍が出ていますが、今回はストレスに対する反応にも性差があるという記事です。

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まず、ストレスに対しては2つの異なる対処の仕方があると紹介されています。

ひとつは、他者に反応することをセーブし、自分に注意を向ける(become more self-centered)ことです。これは、精神的なエネルギーを蓄えるために役に立ちます。

もうひとつは、他者に対してよりオープンになり、共感的になることです。これは、他者からの助けや専門家の助言といった社会的な資源を探すのに役立ちます。

後者は一般的に女性の対処パターン、前者は男性の対処パターンであるとされています。

この違いを生む背景に、どのようなことがあるのか詳しくは明らかになっていないようですが、この記事は女性のほうがより強く社会的なサポートを得ようとする傾向があり、ホルモンの働きなどの影響もあるのではないかと結論付けています。

しかし、この違いは、男女が互いを助け合おうとする際にも、すれ違いを生んでいるのかもしれません。

例えば、霊長類などの脳には、共感に関連する神経細胞として、ミラーニューロンというものがあることがわかっています。これは、別の個体がとっている行動を見たときに、まるで自分も同じ行動をとっているかのような反応をすることが知られています。

多忙な仕事、家族に関する悩み、将来への不安…さまざまなストレスに苦しんでいる男性のパートナーを見て、このミラーニューロンが働いているなら、女性が「自分がされたら楽になると思う行動」をとってしまうのは、ごく自然なことかもしれません。

つい、彼を放っておけず、自分が彼にとっての“社会的なサポート”であろうとして、声をかけたり、話を聞き出そうとしたりします。

ですが、ストレス状況下において、他者とのかかわりが負担に感じられてしまう男性にとっては「余計なお世話」になってしまうのでしょう。

そして、「そっとしておいてほしい」という男性の本心からの言葉が、女性には「つらいときに必要としてもらえないなんて」という否定された体験となってしまう。

男女の別れには、こんな誤解の上に起こってしまうことがたくさんあるような気がします。互いを思いやっているがゆえに、こうしたすれ違いは悲しいことです。

脳の構造の違いを知り、少しの知識と余裕とともに、大切な相手を本当に大切にする方法を考えていきたいものです。